(ブルームバーグ):決済処理ネットワークを運営する米ビザとマスターカードは新たな和解に近づいており、実現すれば、加盟店との20年越しの法的な係争が決着する見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によれば、和解案は両社が「インターチェンジフィー」を数年間にわたり平均10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げる内容。インターチェンジフィーとは、加盟店と契約する金融機関などがカード利用者のカード発行会社に支払う手数料を指す。
また、和解案では加盟店が両社のいずれかのクレジットカードを受け入れる場合にそのブランドのすべてのカード受け入れを義務づけるルールも緩和される見通しという。
和解案については、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に報じた。ビザとマスターカードの広報担当者はコメントを控えた。
インターチェンジフィーを巡る法的な争いは、少なくとも2005年までさかのぼる。両社は過去10年に複数の和解案を提示したが、いずれも係争の決着に至らなかった。昨年には連邦裁判所が、加盟店の手数料を5年間で推定300億ドル(約4兆6200億円)節約できる内容の和解案を退けた。両社が譲歩する余地はさらにあるとした。
小売業者は長年、カード決済に伴うコストの負担軽減を求めてきた。こうした手数料の多くは、JPモルガン・チェースやシティグループなど金融大手を含め、カードを発行する銀行に渡っている。
インターチェンジフィーは年間1000億ドルを超え、プレミアムカード利用者に提供されるリワードの原資にもなっている。一部の小売業者はビザやマスターカードの一般的なカード利用は認めても、インターチェンジフィーの高い高級カードの受け入れを拒否できる権限拡大を求めている。
原題:Visa, Mastercard Near Settlement in Long-Running Merchant Fight(抜粋)
--取材協力:Yi Wei Wong.
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