暗号資産(仮想通貨)市場は、過去1カ月余りで年初来の上昇分のほとんどを失った。コインゲッコーによると、全体の時価総額は10月6日に過去最高の約4兆4000億ドル(約673兆5000億円)に達したが、その後およそ20%縮小した。

ビットコインが過去最高値を記録した数日後、約190億ドル相当のポジションが突如清算されたことが相場下落のきっかけとなり、市場の信頼は大きく損なわれた。トレーダーの間では反発を見込む動きはほとんど見られない。

今年は規制当局や国際的な金融機関、機関投資家がデジタル資産の受け入れを強めた年となったが、その中での相場下落は多くの関係者にとって予想外の衝撃となった。

トランプ米大統領が米国を世界の仮想通貨の中心地として確立する方針を打ち出したことを受け、ビットコインの価格は大幅に上昇した。だが、その後の投資心理の急速な反転を映すように、仮想通貨の時価総額は現在、トランプ氏が大統領に就任した当時の水準を下回っている。

 

ビットコインは今週これまでに9%下落し、週間ベースでは3月以来の低調なパフォーマンスとなる見通しだ。節目とされる200日移動平均線も割り込んだ。

最近の売りは暗号資産全体に広がっているが、特に下げがきついのはアルトコイン(比較的規模が小さい仮想通貨の総称)だ。

暗号資産取引プラットフォーム、シグナルプラスのオーガスティン・ファン氏は「ビットコインとイーサリアムを除けば、暗号資産市場はここ数カ月にわたり総じて劣勢が続いている」と指摘。「アルトトークンや分散型金融(DeFi)プロジェクトには新規資金の流入がほとんど見られない」と語った。

同氏は、短期的な相場上昇材料が乏しく、セキュリティーや規制に対する懸念が根強いなか、一般投資家の参入は当面低調な状態が続くとの見方を示した。

原題:Crypto Bear Market Wipes Out Almost Entire 2025 Value Increase(抜粋)

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