高市早苗首相は7日の衆院予算委員会で、経済財政運営に関し、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標の達成状況を毎年度の予算編成などで確認する従来の方法を「取り下げる」と表明した。

高市早苗首相(10月24日)

立憲民主党の本庄知史政調会長への答弁。高市氏は、財政の持続可能性を重視する観点から債務残高対国内総生産(GDP)比の引き下げを安定的に実現し、市場からの信認を得ていく考えを強調。「単年度ごとのPB黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討している」と述べた。

PBは財政健全化の指標で、歴代政権は黒字化目標の達成を意識して予算編成に臨んできた。高市首相は経済財政政策について「変更したと理解していただいて結構かと思う」とも述べ、方針転換を明確にした。

石破茂政権時代に策定した骨太の方針2025では、25年度から26年度を通じて、「可能な限り早期の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す」と明記した。

高市首相は自らの財政運営に関し、「少し長いスパンで見ていきたい。単年度ごとにバランスを確立するということではない」と説明した。「単年度のプライマリーバランスという考え方については変更する、取り下げると考えていただいて結構だ」とも付け加えた。

いわゆる「財政ポピュリズム」への見解を問われたが、「とにかくお金を配るということで人気を得ようとする無責任なポピュリズムという意味なら、高市内閣の方針とは違う」と語った。

高市首相が自民党総裁に就任した10月4日以降、市場では株高・円安・債券安(長期金利上昇)の動きがみられた。日経平均株価は同月31日に初の5万2000円台に乗せた。ただ、7日は米景気への懸念から大幅に反落し、一時5万円を割り込んだ。円相場は対ドルで7日午後4時40分現在、153円台半ばで推移している。

予算委での首相の他の発言

  • 危機管理投資の要、成功に向けて力を尽くす-ラピダス・プロジェクト
  • 成長戦略の成果は十分ではなかった-アベノミクス
  • 防衛国債を作るということは申し上げていない-新たな財源調達の手法を考えているのは事実
  • 米国のトランプ大統領は快活でユーモアがある
  • 中国の習近平国家主席とは懸案についても率直に議論し合える関係を構築することができた
  • 韓国の李在明大統領は問題意識を共有できるリーダーだ

(高市首相の発言を追加し、更新しました)

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