(ブルームバーグ):米証券取引委員会(SEC)が格付け会社イーガン・ジョーンズ・レーティングスを調査していることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。急成長するプライベートクレジット格付け市場の主力企業である同社の業務慣行について精査しているという。
SECの執行部門の弁護士は、イーガン・ジョーンズおよび同社の一部幹部が格付け手続きに不適切な商業的影響を及ぼしたかどうか調べている。調査が進行中であることを理由に、関係者は匿名を条件に明らかにした。
SECの複雑金融商品チームもこの調査に関与しているという。調査はバイデン前政権下で開始され、今年も継続していると関係者は話した。
イーガン・ジョーンズの広報担当者は、同社はコンプライアンスを「極めて重視しており、規制当局との関係も良好に保っている」と説明。「引き続き、顧客および世界の資本市場への貢献に尽力している」と付け加えた。
SECの調査は、必ずしも執行措置に結びつくわけではない。ただし、違反があったと判断されれば、企業や幹部に罰金が科される可能性がある。SECは現時点でイーガン・ジョーンズやその幹部を不正行為で非難しておらず、調査の進捗(しんちょく)状況も明らかになっていない。
SECは政府機関の閉鎖が続いていることを理由にコメントを控え、「政府閉鎖の期間中、SECの広報局は報道機関からの多くの問い合わせに対応できない」と声明で述べた。
信用の精査
イーガン・ジョーンズはSECが認定する格付け機関、NRSROに登録されており、同社が付与する格付けは米保険会社が自己資本算出の際に使用できる。格付けが高いほど、保険会社が資産に対して積み立てておくべき資本は少なくて済む。
大手の格付け機関が公的セクターの顧客に重点を置く中、イーガン・ジョーンズは急拡大するプライベートクレジット市場で早期に支配的地位を築いた。ムーディーズ・レーティングスが格付けを付与する保険会社を対象に実施した調査によれば、米国の生命保険会社が保有する現金および運用資産約6兆ドル(約918兆円)のうち、最大3分の1がさまざまな形態のプライベートクレジット投資に振り向けられている。
イーガン・ジョーンズはこの市場で最も多くの格付けを行う機関として自らを位置づけており、昨年は約20人のアナリストで3000件を超えるプライベートクレジット投資を格付けした。保険会社がプライベートクレジット市場への投資拡大を進める中、こうした格付けが業界の成長を支える上で果たす役割に今年改めて注目が集まっている。
原題:Egan-Jones Probed by SEC Over Its Credit Ratings Practices(抜粋)
(最終3段落を追加し、更新します)
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