藤森キャスター:
価格についても見ていきましょう。

試験販売時は大体7000円〜9000円で手に入るといいます。アメリカは約1500円、イギリスは約4600円で手に入れることができ、かなりまだ差があります。一定の要件のもとで、無償・安価で提供する国が、実はいま世界的に増えています。

産婦人科 宋美玄さん:
そうなんです。日本はやはり薬を承認するときに、治験などにすごくお金がかかります。アフターピルも認可されるまでに、すごく時間がかかりました。私も開業医なので卸値を知っていますが、市場原理だとこれぐらいの費用になるのは仕方がありません。

そのため、体の自己決定権、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツのために、国が公費助成をすべきだと私は思っています。

必要な人の手に届くようにする。例えば、この値段で10代の子が手に入れられるかというとやはりちょっと難しいですよね。そのため。今度はお財布の話に進めていきたいと思っています。

小川キャスター:
課題もあるという中で、同時に進めていかなければならないことも本当に多くあると思います。

産婦人科 宋美玄さん:
日本では性教育が長い間どうしても十分でない状態が続き、いろいろな世代がちゃんと避妊のことを知らなかったりします。アフターピルが手に入りやすくなることで、「コンドームをつけなくてもいいや」みたいになる可能性は十分にあると思います。

やはり性教育や他の避妊法へのアクセスも同時に進めていかないと、アフターピルは決してそんな確実な避妊法ではなく、毎日服用するピルや子宮の中に入れる避妊具に比べると、補助的なものとして考えないといけません。同じ生理周期に複数回使うこともできないので、「アフターピルがあるから大丈夫」という感じになるとすごく怖いです。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
こういう議論において、「無責任になる」という意見がありますが、男性・女性どちらにもあるのでしょうが、恐らく男性が無責任で起きている問題の方が多いと思います。

避妊をちゃんとしないことは、本来男性側の責任であるはずで、「アフターピルがあるから」と避妊しないような人が増えるのは困りますよね。

産婦人科 宋美玄さん:
男性は自分で主体的にできるコンドームを、性感染症の予防にもなるので、緊急避妊薬がどれだけ広まってもつけていただくことが大切です。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
そもそも避妊せずに性行為をすることは、お互いが「子どもをつくろう」という気持ちになって初めて免許が下りるというふうに自分で考えておくべきだと思います。

小川キャスター:
誰もが主体的に考えるということが本当に必要だと感じます。