(ブルームバーグ):3日の取引で、原油価格は方向感を欠く展開となっている。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスは12月に生産を小幅に引き上げた後、需要が減速するとみて2026年1-3月は生産量を維持する計画を示したが、それでも供給過剰になると市場では見込まれた。
北海ブレント原油はアジア時間での小幅な上昇を解消し、1バレル=65ドルを割り込んだ。OPECプラスは2日、12月に日量約13万7000バレルの増産を実施すると発表。10月と11月の増産ペースと同じ規模とした。来年1-3月の増産は見送る。
原油市場では供給過剰の拡大が見込まれる中、国際指標のブレント原油は過去3カ月で約10%下落した。ただ、米国の対ロシア制裁強化で同国からの供給見通しに不透明感が生じたことから、価格は5カ月ぶり安値から持ち直している。

モルガン・スタンレーのアナリスト、マルテイン・ラッツ氏とシャーロット・ファーキンス氏らはリポートで、「来年1-3月の生産引き上げ停止決定は、当社の生産予測を大きく変えるものではないが、重要なシグナルを発している」と指摘。「市場の状況に応じて、供給を調整する意向があるということだ」と続けた。
OPECプラスの主要8カ国には、現在の供給枠でまだ日量約120万バレルの生産回復余地がある。また、過去の過剰な生産を相殺したり、生産増加に手間取っていたりする加盟国もあるため、OPECプラス全体として実際の生産引き上げ幅は発表された水準を下回っている。
OPECプラスの決定を受けて、モルガン・スタンレーはブレント原油の短期的な価格見通しを引き上げたものの、同時に「大幅な供給余剰が見込まれる」との警告を維持した。
一方、アラブ首長国連邦(UAE)は3日、他の産油国に同調する形で、供給過剰に対する懸念を一蹴した。
市場関係者は供給が混乱するリスクにも目を向けそうだ。ロシアの黒海に面した港、トゥアプセがウクライナのドローン(無人機)による攻撃を受け、石油タンカー1隻が炎上、石油積み出し施設が損傷した。この地域は米政府は10月に制裁対象とした、ロシア国営石油会社ロスネフチの製油所が付近にある。
原題:Oil Dips as OPEC+ Braces for Demand Slowdown and Surplus Ahead(抜粋)
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