トランプ米大統領は、ナイジェリア政府がイスラム過激派による「キリスト教徒の殺害」を止めなければ、米国がこれら勢力への軍事行動を取る可能性があると警告した。

トランプ氏は1日、国防総省に「行動の可能性に備えるよう指示した」とトゥルース・ソーシャルに投稿。石油輸出国機構(OPEC)加盟国でアフリカ最大の人口を抱えるナイジェリアへの援助を即時停止する可能性を示唆した。

トランプ氏は2日、空爆や地上部隊投入の可能性はあるのかとの記者の質問に対し、「その可能性はある。いろいろなことを想定している」と答えた。

大統領はさらに、イスラム過激派が「キリスト教徒を殺害している。非常に多くの数だ。われわれはそのようなことを決して許さない」と語った。大統領専用機で移動中に発言した。

トランプ氏は10月31日、キリスト教徒の安全に対する懸念を理由に、ナイジェリアを「特に懸念のある国」に指定すると発表した。共和党のクルーズ上院議員が、ナイジェリアを信教の自由侵害国に指定するよう議会に働きかけていた。

2023年のバイデン前政権下での米国の対ナイジェリア援助総額は10億ドル(約1540億円)だった。トランプ氏の2期目初年に当たる25年の暫定データでは、ナイジェリアがこれまでに受け取った援助は約2億5000万ドルにとどまり、大幅な減少となっている。

トランプ政権下では、ナイジェリアから輸入されるほとんどの品目に対して15%の関税が課され、約4億ドル相当の貿易に影響を及ぼしている。

ナイジェリアは米国から強制送還されたベネズエラ人の受け入れを拒否した国の一つでもある。トゥガー外相は「自国の問題が山積している」と拒否の理由を説明した。これを受け、米国はナイジェリア人に対する非移民ビザの発給制限を発動した。

ナイジェリアのティヌブ大統領はXへの投稿で、同国が宗教的に不寛容だとするトランプ氏の見方を否定。「すべてのナイジェリア人に信教および信条の自由を保障するための政府の一貫した真摯(しんし)な努力」をトランプ氏が無視していると述べた。

ナイジェリア北東部ではイスラム過激派が勢力を増しており、数十の軍事基地が攻撃を受けている。ナイジェリアの人口約2億3000万人はキリスト教徒とイスラム教徒がほぼ半々に分かれており、両方のコミュニティーが過激派による攻撃の標的となっている。

原題:Trump Threatens US Military Action Against Militants in Nigeria(抜粋)

--取材協力:Anthony Osae-Brown.

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