(ブルームバーグ):財務省が31日に実施した2年利付国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が4.35倍と、過去12カ月平均(3.7倍)を上回った。日本銀行が利上げに慎重との見方から需要が集まったと見られ、市場では強い結果だったとの声が出ている。
投資家需要の強弱を反映する応札倍率は前回(2.81倍)も上回った。最低落札価格は100円13銭と市場予想(100円12銭5厘)を上回った。小さいほど入札の好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2厘と前回(2銭9厘)から縮小した。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「応札倍率、最低落札価格、テールのどれをとっても強い結果だった」と指摘した。前日の日本銀行の金融政策決定会合と植田和男総裁の会見が「ハト派と受け止められたことから買い安心感が生まれた」とした。12月の利上げの可能性は残っているが、仮に利上げがあっても「政策金利が1%に達した後の利上げは慎重だろうという見方が多く、0.9%台の利回りで需要があった」という。
入札結果を受けて、新発2年債利回りは前日比1.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い0.91%に低下(価格は上昇)した。
2兆7000億円の発行予定で行われた2年債入札は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が49%にあたる1兆3228億円落札した。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「買えなかった他の投資家が流通市場で買わざるを得なくなって買い戻しが入る可能性もあり、相場への短期的な波及はあるかもしれない」と語る。
日銀は30日の決定会合で、政策金利の現状維持を7対2の賛成多数で決めた。植田総裁は会合後の会見で、経済・物価は日銀の見通しに沿って推移しており、物価目標が実現する確度が「少しずつ高まってきている」と指摘。利上げに向け「春闘における初動のモメンタムがどうなるか、もう少し情報を集めたい」と述べた。
外国為替市場では日銀が利上げを急いでいないとの受け止めから円安が進み、円相場は対ドルで一時154円台前半と2月以来の安値圏へ下落。円安の進行に加え、31日朝に発表された10月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を上回り、債券先物は下落した。スワップ市場が織り込む12月の利上げ確率は5割弱、来年1月まででは8割以上で推移している。
(4、5段落に2年債利回り推移とコメントを追加して更新します)
--取材協力:山中英典.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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