カナダ・オンタリオ州のフォード首相は29日、トランプ米大統領を怒らせた州政府のテレビ広告を巡り、米国のホークストラ駐カナダ大使が同州の通商代表に対し、公の場でののしったとして同大使に謝罪を求めた。

フォード氏は記者会見で、「ピート(ホークストラ大使)よ、デーブに電話して謝るべきだ。電話して、仲直りしよう」と語った。デーブとはワシントン駐在のオンタリオ州代表デービッド・パターソン氏を指す。

カナダの複数の報道によると、ホークストラ大使は27日にオタワで開かれたイベントで、パターソン氏を侮辱し、ののしるような発言をした。問題となった60秒のテレビ広告はオンタリオ州政府が制作を依頼したもので、故レーガン元米大統領が1987年に行った演説の一部を引用し、関税に反対する内容だった。トランプ大統領はこの広告に憤慨した。

トランプ氏はカナダとの貿易交渉を打ち切り、25日にはカナダからの輸入品への関税をさらに10%上乗せすると表明した。ホークストラ大使はその後、カナダ米国ビジネス協議会主催のイベントに出席し、パターソン氏を非難したとされる。

フォード首相はホークストラ大使について、「冷静さを失い、腹も立ったのだろう。あなたはいい人だし、デーブは私の仲間だ」と語った。

オンタリオ州政府は24、25日に行われた米大リーグのワールドシリーズ第1、2戦で広告を流した後、放映を一時停止した。

フォード氏は29日の会見で、「私はこれまでにないほど闘うつもりだ」と発言。州民を守り、関税のリスクを米国民に伝える狙いがあったと広告を改めて正当化した。

パターソン氏とオタワの米国大使館はいずれもコメントを控えた。

原題:Ontario Premier Asks US Envoy to Apologize for Profane Rant (2)(抜粋)

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