(ブルームバーグ):チョコレート業界にとって、今年のハロウィーンは試練となりそうだ。カカオ価格の高騰により、グミなど安価で流行のスイーツへの消費者の移行が加速する恐れがある。
菓子メーカーにとって、ハロウィーン商戦は引き続き重要だ。2024年は米国の年間菓子売上高の約18%を占め、クリスマスに次ぐ規模だった。だが、チョコレートメーカーは、原材料価格の上昇分を消費者に転嫁しており、これが、既にチョコレート以外の菓子への需要シフトを捉えている競合他社に、市場シェア拡大の機会を与えている。
ニューヨーク市場のココア先物価格は、昨年12月の最高値から約50%下落したものの、依然として歴史的高水準にある。チョコレートメーカーは、ハロウィーン時期のノスタルジックな気分が、チョコレート離れの傾向を相殺するよう期待している。
ウェルズ・ファーゴ農業食品研究所の部門責任者、デイビッド・ブランチ氏は「チョコレートはチョコレートだ。休日以外の販売は減り、休日中の販売は増えている。人々は常にチョコレートを買うわけではないが、欲しくなった時には必ず求める」と語る。
問題は、人々がチョコレートを欲しがる頻度が減っていることだ。消費者調査会社サーカナのデータによると、10月5日までの12週間で、チョコレート菓子の販売量は6%減少した。一方で平均単価は14%近く急騰した。一方、ハリボーの酸っぱいコウモリグミなど、ハロウィーン向けの非チョコレート菓子の販売量は、同時期に8.3%増加している。
価格上昇にもかかわらず、消費者はなおチョコレートを支持しているが、サーカナの消費財・外食産業分析主席顧問サリー・ライオンズ・ワイアット氏は「現時点でシェアを獲得するのはどちらか、まさに五分五分だ」と話す。

グミが人気
ニールセンIQの調査によると、買い物客の半数以上がハロウィーンの支出ではグミキャンディーを優先すると回答し、半数弱がハードキャンディを優先すると答えた。
グミが商品ラインの約85%を占める菓子メーカー、シュガーフィナでは、昨年を上回るペースで商品が売れている。スコット・ラポルタ最高経営責任者(CEO)によると、カカオ価格の上昇に伴い、グミの利益率はチョコレートに比べて向上している。
グミベアで知られるハリボーも、今年の需要増加を実感している。季節商品担当マネージャーのハンナ・カーリー氏は、チョコレート価格の上昇も影響はしているが、グミには「チョコレートでは実現できない季節限定の創造性」があると指摘する。
チョコレートメーカーは、プロモーション強化や季節限定商品の投入で対抗している。また、高価なカカオ原料の削減のため、ナッツやクリームの使用を増やすなど、価格抑制策も講じている。
大手企業の中には、商品ポートフォリオの拡大を図る動きも見られる。キャドバリーやトブラローネのブランドを擁するモンデリーズ・インターナショナルでは、米国菓子部門のチャンタル・バトラー社長が「米国市場ではグミを最優先している」と述べた。同氏は、ハロウィーン限定のサワーパッチキッズやオレオといった期間限定商品が「この時期の需要に大きく貢献している」と語った。
ハーシーは、米プロバスケットボールNBAのレジェンド、シャキール・オニール氏と提携し昨年発売したグミ製品ラインに、今年は新たなハロウィーンフレーバーとパッケージを導入した。同社広報によると、砂糖ベースの甘味製品は、チョコレート販売に上乗せされており、消費者がどちらか一方を明確に選択するケースは少ないという。
主に専門のキャンディーメーカー向けにチョコレートを販売するカリフォルニア州に拠点を置くギタール・チョコレートは、業界全体が今年前半にかなりの高値で仕入れたカカオの在庫調整に取り組む中でも、ハロウィーンの需要は例年並みになると見込んでいる。
同社のゲイリー・ギタールCEOは「一部の菓子メーカーは、価格上昇圧力を和らげるため、新商品を投入しているが、消費者はたとえ価格が上がっても、定番の商品には変わらない品質を求めている」と語った。
原題:Halloween Is Challenge for Chocolatiers as High Prices Bite (1)(抜粋)
--取材協力:Kristina Peterson.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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