米グーグル傘下の動画配信サービスYouTubeは、人工知能(AI)を活用して低解像度の動画を高精細に表示する機能を導入すると発表した。テレビ画面やウェブ、モバイル端末で視聴する際に、画質を自動的に向上させる仕組みだ。

YouTubeのシニアプロダクトディレクター、カート・ウィルムス氏が29日のブログ投稿で明らかにしたもので、「アップスケーリング」と呼ばれるこの機能は、まず1080p未満の解像度でアップロードされた動画が対象になる。「近い将来」4K画質への高精細化にも対応する予定だという。

グーグルの広報担当者は、ウェブ版やモバイルアプリでも同機能を提供することを確認した。

プラットフォーム側がコンテンツに手を加えることにクリエーターが懸念を示す可能性もあるが、ウィルムス氏は「元の動画ファイルはそのまま保持される」と説明。希望しない場合は「超解像」機能を無効化できると述べた。超解像度の動画にはそれを示すラベルが付加され、視聴者が元の動画を選んで見ることも可能になるという。

ウィルムス氏はブログで、アップスケーリング機能の導入により特に大画面テレビでの配信動画の視聴体験が向上する見込みだとし、テレビ画面がYouTubeにとって「最も急成長しているプラットフォーム」だと述べた。また、大型スマートフォンや折りたたみ端末でも画質改善が見込めるとした。

多くの人気クリエイターはすでに数年前から4K画質で動画を投稿しているが、超高精細(UHD)動画が普及する前に投稿された膨大な動画の多くは480p以下となっている。

YouTubeはまた、サムネイル画像のファイルサイズ上限を従来の2メガバイトから50メガバイトに引き上げ、テレビ画面などでより精細なサムネイルを表示できるようにするという。

さらに、ウィルムス氏によると、YouTubeはNetflixなど他のストリーミングサービスに対抗するため、「一部のクリエイターの協力の下、より大容量の動画アップロードをテスト」しており、実用化されればさらに高画質の映像が実現できるという。

YouTubeは今年、機械学習を用いて一部のショート動画の画質を無断で向上させ、一部クリエイターの批判を招いていた。当時、YouTubeはSNSへの投稿で、「アップスケーリングではない」と説明していた。

原題:YouTube to Use AI to Sharpen Millions of Lower-Resolution Videos(抜粋)

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