米銀シティグループは、行員が人工知能(AI)を活用できる範囲を急速に広げている。ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は行内全体での業務効率向上に取り組んでいる。

フレーザー氏はサウジアラビアの首都リヤドで開かれた「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」のパネル討論会で、かつて優秀な開発者が1週間半かけていたコーディング作業をAIが数分で完了させる例があると明らかにした。

「行内で非常に嫌われている年次プロセスの一部をなくすことで、AIを組織に浸透させる方法がある」と指摘し、「AIツールが人事評価の初稿を作成してくれると全行員に伝えた時、世界中のオフィスで歓声が上がったように感じた」と話した。

ジェーン・フレーザー氏が語る

金融機関は与信判断やマーケティング、顧客対応など多様な分野での改善を目的にAIの導入を進めている。

シティは今月、生成AIツールによる自動コードレビューの活用で、週当たり10万時間の開発工数を削減したと明らかにした。これは、通常の週40時間労働であれば、2500人の開発者を必要とする作業量だ。

フレーザー氏は、シティのAI導入を食器洗い機の登場になぞらえた。

「食器洗い機は結果として皿がきれいになるものの、洗い方自体は手洗いのプロセスとまったく異なる」と指摘。「当行では今、これまで手作業で行ってきたプロセス全体を見直し、根本から再構築するにはどうすべきかを、チームに問いかけている」と語った。

同じパネルに参加したバークレイズのC・S・ヴェンカタクリシュナンCEOは、バークレイズでもAIを活用して小口融資の審査プロセスにおける多くの段階を自動化していると述べる一方で、「顧客選定のようにより根本的な判断を要する大きな決定もある」とし、「そうした部分はしばらくの間、人間が担い続けると思う」との考えを示した。

原題:Citi Looks to AI to Help Bosses Write Performance Reviews(抜粋)

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