日本初の女性首相となった高市早苗氏が愛用するバッグがSNSで話題を集め、創業145年の国産革製品メーカーに注文が殺到している。

SNSユーザーらは、高市氏が首相官邸に入る際によく携えているバッグを、濱野皮革工藝の「グレース・ディライト・トート」と特定した。濱野は長野県に工房を構え、皇室関係者にも長年愛用されてきた老舗ブランドとして知られる。

価格は13万6400円(税込み)で、素材は総革ながら重さは700グラム。公式サイトによると、エレガントさと機能性にこだわったキャリア派女性たちの願いに応えたトートバッグだという。

同社は公式サイトで、海外を含め各種SNSやニュースサイトなどで第104代首相が同バッグを持つ写真が取り上げられた後、注文が集中しており、受注が「半年分の工場の生産量」に達していると説明。出荷は来年4月末になる予定だとし、問い合わせへの対応の遅れを謝罪している。

女性政治家は伝統的な高級ブランドを好む傾向があるが、彼女たちのファッションが比較的無名のブランドの売り上げを押し上げた例は海外にもある。

米国のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は2020年、米新興ブランド「テルファー」のトートバッグを愛用し、同ブランドの知名度を一気に高めた。高市氏(64)が敬愛する「鉄の女」サッチャー元英首相は英ブランド「ローナー」のバッグを愛用していたことでも有名だ。

世論調査では、高市氏は若い世代を中心に人気が高いが、今回のバッグの選択をどの年代層が模倣しているかは明らかでない。

青山学院大学経営学部の客員教授でラグジュアリー文化が専門の中野香織氏は濱野製のトートについて、ノートパソコンや小物も入る「実用性がありつつ、主張が強くないところが魅力。管理職の女性が持つバッグとしては堅実だ」と指摘。海外ブランドで同品質のものに比べれば、むしろ安価だと述べた。

また中野氏によると、高市氏は日本ブランドのJun Ashidaの服もよく着用している。高市氏は国内ブランドを選ぶことで愛国心や国内産業を支援する意思を示しており、「国民目線、地域応援ですでに結果を出している」と中野氏は付け加えた。

原題:Japan’s New Leader Turns Local Luxury Bag Into Viral Sensation(抜粋)

(ブランド名を追加します)

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