(ブルームバーグ):米ウォルマートが、外国人専門技術者向け就労ビザ「H-1Bビザ」取得が必要な人材の採用を一時停止した。事情に詳しい複数の関係者が話した。トランプ政権が導入した10万ドル(約1520万円)のビザ申請手数料が労働市場を混乱させていることを示す新たな事例となる。
関係者によれば、この方針の影響を主に受けるのは、ウォルマートの本社部門の従業員となる。非公開情報として匿名を条件に語った。
トランプ政権は先月、ビザ制度の見直しと過度な利用抑制を目的に、新規のH-1Bビザ申請に対して10万ドルの手数料を課した。この措置に伴い、そうしたビザ保有者を数千人規模で雇用するテクノロジー業界などに波紋が広がった。
政府のデータによれば、ウォルマートは主要な小売りチェーンの中ではH-1Bビザ保有者を最も多く抱えており、推定で2390人に上る。ただ米国の従業員数約160万人のうち一部に過ぎない。
ウォルマートはH-1Bビザ保有者の主要な雇用主の一つではあるものの、このビザへの依存度がより大きいアマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどの大手テクノロジー企業には及ばない。
ウォルマートの広報担当者は「ウォルマートは顧客にサービスを提供するため、最高の人材の採用とその投資に注力すると同時に、H-1Bビザを巡る採用方針について慎重な姿勢を維持している」と説明している。
今回の採用停止は、米政権によるH-1Bビザ制度見直しの発表以来、雇用主やH-1Bビザ保有者の間で生じている混乱に拍車をかけるものだ。
ビザ保有者は大半が米国の法律を順守してきたにもかかわらず、移民政策の予測不可能さに直面し、いら立ちを募らせている。一方で雇用主は、ビザの発給上限が人員補充の妨げになっているとしている。
原題:Walmart Pauses Job Offers to Candidates Needing H-1B Visas (2)(抜粋)
--取材協力:Hadriana Lowenkron.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.