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22日の取引で、金価格は上下に振れる展開ながら下げを広げている。前日は、歴史的上昇で価格が過大評価されているとの懸念から投資家の利益確定売りが広がり、約12年ぶりの大幅な下落を記録していた。

ロンドン時間正午で金スポット価格は前日比2.3%安の1オンス=4032ドル近辺に下落。アジア時間には一時3%近く下落した後、下げを解消して上げに転じる場面もあった。銀のスポット価格は1.4%安の48.0294ドル近辺。

金は前日、一時6.3%下落した。銀も前日、一時8.7%下落。金も銀もこれまでの急激な上昇でテクニカル指標に過熱感が表れていた。

 

スタンダードチャータードのコモディティー調査責任者、スキ・クーパー氏は「テクニカル的な売りが主な犯人だ」と指摘。「価格は9月始め以降、買われ過ぎの領域にあった」とし、金価格は来年に勢いを取り戻すとの見方を示した。

今回の急落で、数カ月にわたる急ピッチな上昇相場は急停止した。年内に米連邦準備制度理事会(FRB)が少なくとも1回の大幅利下げを実施するとの思惑や、拡大する財政赤字から資産を守るため国債や通貨を避ける「ディベースメント取引(通貨価値切り下げトレード)」を追い風に、金価格は年初来でなお55%近く上昇している。

金相場上昇の初期の大半で様子見を続けていた個人投資家も、ディベースメント取引に熱心になり始めたこともあり、ここ数カ月は動きが目立っている。個人が金への大型投資を行う際に利用することが多い、金の現物を裏付け資産とする上場投資信託(ETF)や先物のオプション取引量は急増している。

シティグループは21日の急落を受け、過剰なポジション形成への懸念を理由に金の「オーバーウエート」推奨を引き下げた。同行のコモディティー調査チームはリポートで、今後数週間は1オンス=4000ドル前後でのもちあいが続くとの見通しを示した。

 

リポートは「米ドル離れを目的とした中央銀行の金購入という従来からの強気要因がいずれ再燃する可能性はあるが、現時点では急いでポジションを取る理由はない」と指摘。金価格は「ディベースメントのテーマを先取りし過ぎた」と付け加えた。

MKSパンプSAの金属戦略責任者、ニッキー・シールズ氏は21日のリポートで、金と銀の現在の価格は「良い買い場」に近づいていると指摘。短期的に金価格は1オンス=4000-4500ドル、銀価格が45-50ドルの範囲で推移する期間が見込まれるとした。

原題:Gold Extends Rout in Volatile Pullback From Historic Price Surge(抜粋)

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