(ブルームバーグ):トランプ米大統領は米清涼飲料大手コカ・コーラに対し、米国産サトウキビ糖を使ったコーラ製造を先に求めた。問題は、同社がそれを広範に展開するのに十分な砂糖や生産能力の確保が困難な点だ。
コカ・コーラのジョン・マーフィー最高財務責任者(CFO)は21日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、米国産サトウキビ糖を使用したコーラの販売を開始したものの、米国内のサトウキビ糖供給とガラス製ボトルでの生産を強化する自社の能力には制約があると述べた。
マーフィー氏は「展開は段階的に進めることになる」とした上で、「米国内で入手可能なサトウキビ糖の量は限られている」と説明した。
同氏の発言は、米企業がトランプ氏の意向に沿って事業運営を調整しようとする際に直面する課題を浮き彫りにしている。食品業界は関税や不安定な貿易政策、政府閉鎖による食料支援プログラムへの影響といった要因に加え、より自然な素材へのシフトを求める圧力にもさらされている。
トランプ氏は7月、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、コカ・コーラが米国産サトウキビ糖を使った新しいコーラを発表する計画だと明らかにした。その後、同社はこうした砂糖を使用したコーラ新製品を今秋に発売する予定だと発表していた。
コカ・コーラは米国内で、サトウキビ糖よりも安価な高果糖コーンシロップを甘味料として使用。一方、メキシコから輸入したサトウキビ糖を使った高価格帯のコーラは一定の人気を集めている。
米農務省によると、米国のサトウキビ糖生産は国内砂糖供給量の約30%を占め、残りはてんさい糖やメキシコなどからの輸入で賄われている。
マーフィー氏は、砂糖供給だけでなく、ガラス製ボトルでの生産能力も新製品の展開を抑える要因だと指摘。ガラス瓶入りのコーラ製造には、缶製品とは異なる工程が必要なため、生産能力の拡大が必要だと語った。
同氏によると、当面は一部の市場と店舗で「段階的な展開」を進め、2026年にかけて規模を拡大していく計画だという。
原題:Coke Hits Supply Snag in Push to Make Trump’s US Cane Sugar Soda(抜粋)
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