(ブルームバーグ):仏化粧品大手ロレアルが21日発表した7-9月(第3四半期)決算では、米国市場の低迷が中国に見られる回復の兆しを打ち消し、売り上げの伸びがアナリスト予想に届かなかった。
「メイベリン」や「ランコム」などを展開する同社の第3四半期売上高は、同一基準ベースで前年同期比4.2%増と、アナリスト予想の約4.9%増を下回った。北米地域の売上高も同1.4%増と市場予想に届かなかった。
決算発表を受けて、ロレアルの米国預託証券(ADR)はニューヨーク株式市場で一時5.2%下落した。パリ市場で同社株は今年、16%上昇していた。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ワサション・フォン・ウドムシルパ氏はリポートで「改善の程度は期待外れだった」と記し、主要3部門のいずれも予想に届かなかったと指摘した。
トランプ米大統領の関税政策による混乱や、中国消費者の支出抑制という状況の下、同社はエスティローダーなどライバルと同様、需要の低迷に苦しむ。最高財務責任者(CFO)のクリストフ・バブル氏はアナリスト向け説明会で、米国での業績低迷はメーキャップに依存しすぎていることが一因だと分析した。
一方、中国本土では高級品需要の回復で売り上げが「1桁台半ば」の伸びとなった。ニコラ・イエロニムス最高経営責任者(CEO)は中国市場について、「1四半期だけでは傾向は分からない」とした上で、トラベルリテール(免税店販売)が依然として足かせになっていると述べた。
今週、ロレアルは「グッチ」を傘下に持つ仏ケリングから香水メーカーのハウス・オブ・クリードを40億ユーロ(約7050億円)で買収することで合意した。契約にはグッチなど一部ブランドの美容製品を開発・販売するための50年間のライセンスも含まれる。
近年のロレアルは買収を推し進めている。先月には、創業者が死去したイタリアのファッションブランド、ジョルジオ・アルマーニの15%株の取得に向けた優先交渉権を得たことが明らかになった。イエロニムス氏は、アルマーニに関するあらゆる選択肢を検討するものの、家族がまだ喪に服している時期であり、やや時期尚早だと述べた。
原題:L’Oréal Sales Disappoint as US Weakness Outweighs China Pickup(抜粋)
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