(ブルームバーグ):米最大の経済団体、全米商工会議所は16日、外国人専門技術者の就労ビザ申請に高額な手数料を課すのは違法だとして、トランプ政権を提訴した。産業界とトランプ大統領の間で新たな対立が生じている。
全米商工会議所は、トランプ政権が高度な知識や技能を持つ外国人の就労ビザ「H-1B」の新規申請に10万ドル(約1500万円)の手数料を課すことについて、連邦移民法の要件から逸脱していると主張。高額手数料の徴収を差し止める仮処分を求めている。
同会議所のエグゼクティブバイスプレジデント、ニール・ブラッドリー氏は声明で、「10万ドルの新たなビザ手数料により、特にスタートアップ企業や中小企業は、H-1Bプログラムの利用がコスト面で難しくなる」と説明。「このプログラムは、米国内のあらゆる規模の企業が成長で必要とする世界の人材にアクセスできるようにするために議会が創設した制度だ」と指摘した。
トランプ政権が9月にH-1Bビザ申請の高額手数料を発表した後、全米商工会議所はこの決定について法廷闘争を支持するか会員の意向を調査していた。
しかし、最終的に会議所は単独でトランプ政権を提訴。訴状では、多くの会員企業が「H-1Bビザ保有者を貴重な従業員として雇用しており、今後もH-1Bプロセスを通じたビザ申請で新規採用者のスポンサーを続ける計画だ」として、同団体には訴訟を提起する資格があると主張している。
一方、ホワイトハウスは、今回のビザ制度変更は合法であり、「H-1Bプログラムにとって必要な見直しに向けた漸進的な一歩」だとコメントした。
全米商工会議所の会員には、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズなど、米国を代表するテクノロジー企業が名を連ねる。こうした企業はH-1Bビザプログラムを通じた人材採用が活発で、今回の制度変更の打撃を最も受けることになる。
原題:Chamber of Commerce Sues Over Trump’s $100,000 H-1B Visa Fee (3)(抜粋)
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