10月第4週(20-24日)の日本株は高値圏でもみ合う見込み。株式市場で織り込みが進んだ高市早苗自民党総裁の首相就任が国会で決まれば、焦点は政策の中身や実現性に移る。半導体大手など米企業の決算次第では、相場に追い風が吹きそうだ。

首相指名選挙は21日に予定されている。高市首相の誕生を見込んだ「高市トレード」はすでに一巡したとの見方が多い。仮に市場が想定する自民・日本維新の会の連立政権が樹立しても反応は限定的にとどまる見通しで、政策面で新たな材料が出るかどうかが注目される。半面、国民民主党など野党連合が政権を取れば相場は調整する可能性がある。

日本銀行の幹部発言にも関心が集まる。20日に9月の金融政策決定会合で利上げを提案した高田創審議委員、21日には氷見野良三副総裁が講演する。23日の連合による春季生活闘争基本構想の公表や、24日発表の9月の全国消費者物価指数(CPI)と合わせ、早期利上げの有無を判断する材料になる。

米企業の決算も相次ぐ。21日にゼネラル・モーターズや半導体大手のテキサス・インスツルメンツ、22日にテスラ、23日にインテルなどが予定する。米景気や人工知能(AI)需要への期待を高める内容なら、日本株の押し上げ要因になる。

海外の経済指標では20日に中国が7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)を発表する。中国で事業展開する企業の株価に影響が及ぶ可能性がある。24日には米国で9月のCPIやS&Pグローバル総合購買担当者景気指数(PMI)が発表される。

第3週は日経平均株価が1.1%安と、8週ぶりに下落した。自民・公明党の連立解消による政治の不透明感や、米地方銀行の融資問題の表面化を受けたリスクオフの流れが重しになった。

《市場関係者の見方》

SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長

高値圏でもみ合うだろう。米国の信用不安に対して今のところ市場の受け止めは冷静で、尾を引くことはなさそう。高市氏が首相になれば瞬間的に株価が上げる可能性はあるが、すでに期待は十分織り込まれており、上昇は長続きしないだろう。日銀の政策を巡っては、直近の植田和男総裁の発言もこれまで通りで、利上げ観測が高まって円高・株安という動きにはなりにくいとみる。

セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長

高市トレードはもう終わったのではないか。もともとイメージ先行で、安定した政権ができるのであればポジティブだが、相場が大きく跳ね上がる展開は想像しづらい。米国の政府機関閉鎖が続いていることはリスク要因として考えた方がいいだろう。

--取材協力:我妻綾.

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