(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)のマン委員は、英国の欧州連合(EU)離脱と2022年に短命で終わったトラス元首相の失策が、英経済の競争力低下と成長鈍化、インフレリスクの増大を招いたとの認識を明らかにした。
マン氏は1920年代に始まり、トラス保守党政権の大型減税案が英国債とポンド相場急落を引き起こした状況に至るまで、ポンドの国際通貨としての地位の「浸食」が長い時間をかけて進行し、2016年のEU離脱の選択はその流れの中に位置付けられると語った。全米企業エコノミスト協会(NABE)の会議で発言した。
英ポンドが準備通貨としての地位を喪失する「脱ポンド化」の長い歴史は、トランプ米大統領が反エスタブリッシュメント(既得権益を持つ支配層)的政策を進める米国にとっても教訓になると同氏は指摘。「英国とポンド(の地位)は時間の経過とともに徐々に損なわれた。シロアリが土台をむしばみ最終的に崩壊に至るようなものだ」と話した。
1956年のスエズ危機や92年の欧州為替相場メカニズム(ERM)からの離脱も、英国への投資意欲低下を促した節目となり、最終的に「債権者が『もう小切手帳は閉じた。これ以上資金は出さない』と言う段階に至った」と同氏は分析した。
マン氏によれば、英国はEUとの貿易での深い結び付きを解消した結果、(過度なインフレを伴わず長期的に持続可能な)成長の限界速度が下がり、インフレを招きやすい体質になったという。
「経済の供給サイドについて語る際、EU離脱の影響に言及することは避けられない。英経済の供給サイドは実に難題だ」と同氏は述べ、成長の限界速度が低いことは「私の政策判断能力にも影響する」とした。
原題:Brexit, Truss Are Part of Long Sterling Decline, BOE’s Mann Says(抜粋)
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