三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は9日、ブロックチェーン技術を用いた「デジタル証券」の関連事業に参入すると発表した。傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、債券や不動産の権利を裏付けに発行された商品の販売などを始める。

デジタル証券はセキュリティートークン(ST)とも呼ばれ、金融商品取引法上の有価証券に当たる。不動産型はフィンテック企業のスマートプラス(東京都千代田区)と共同運営で手掛け、個人投資家が1口10万円からマンションなどに投資できるようにする。

MUFGは同日、国内公募無担保劣後社債をSTとして総額100億円発行すると発表した。社債型の公募ST発行は国内銀行で初めて。MUFGのデジタル証券事業の第1号案件として、三菱モルガンが引き受け、販売する。個人投資家などを対象に20日から申し込みを受け付ける。

デジタル証券を巡っては、野村証券や大和証券などが既に引き受けや販売を行っている。政府も規制緩和などでSTの普及を後押ししており、銀行系を含めた他の大手証券も取り組みを強化している。MUFGの参入で一段と競争が激しくなりそうだ。

三菱モルガンの資料によると、今年8月までのSTの累積発行額は2628億円(うち不動産STが2333億円)だった。30年には2兆5000億円に拡大するとの予想もある。将来的には芸術作品や知的財産などもSTの対象となる可能性があり、新たな投資家ニーズの掘り起こしにつながるとみている。

(第3段落に第1号案件について追加して更新します)

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