お値段から世の中の動きを読み解いていく「きょうのお値段」。今回のお値段は、サツマイモを干したら「100億円」です。

「お小遣い稼ぎになれば…」定年後に始めた干し芋ビジネスの行方

出水麻衣キャスター:
秋は「芋・栗・カボチャ」といいますが、サツマイモをそのまま販売するより 「干し芋」にして販売することで、100億円の価値が生まれる可能性があります。

定年退職後にサツマイモ農家に転身した助川操さん(76)は、最初は「お小遣い稼ぎになれば」と干し芋作りを始めたそうなのですが、今どうなっているのでしょうか。

そもそも干し芋が誕生した歴史は、1766年まで遡ります。この年、薩摩の船が静岡の海で遭難しました。その時に助けてくれた静岡の人に、お礼としてサツマイモが贈られ、1892年頃に静岡で干し芋が誕生しました。

干し芋は静岡で盛り上がりを見せていたのですが、その後、茨城県に伝わり、1908年に茨城で干し芋の製造が開始されました。

茨城は、サツマイモ作りに適した土壌で、海産物も豊富なことから干物を作る技術があったため、干し芋作りが広がったと言われています。

そして当時、どの品種が干し芋に適しているか試行錯誤をしている中で、茨城県では「たまゆたか」という焼いても蒸しても美味しくない品種が、「実は干したら美味しい」と気付きました。こうして1940年代後半から、干し芋が茨城の地域産業になっていったということです。

ただ、2010年頃から「紅はるか」という品種が台頭してきます。「紅はるか」は甘みが強く“ねっとり系”で、そのまま食べても、蒸しても、そして干し芋にしても美味しいとして、「スイーツ系」の干し芋が誕生しました。今も「紅はるか」が主力の品種となっています。