トランプ米大統領が中国との関係を優先するあまり、台湾を犠牲にするのではないかとの懸念が強まっている。

台湾の頼清徳総統は、「台湾が併合されれば、中国は米国と世界の舞台で競い、ルールに基づく国際秩序を変える上で、さらに強力になる」と、米国の保守系ラジオ番組「クレイ・トラヴィス・アンド・バック・セクストン・ショー」との台北でのインタビューで語った。

頼氏は「最終的には、これは米国自らの国益にも影響する」と指摘した。台湾総統府が7日の声明で明らかにした。

頼氏の姿勢は、中国から外交的に孤立する台湾が置かれた難しい立場を浮き彫りにしている。米国は長らく台湾にとって揺るぎない同盟国だが、トランプ政権は中国との取引を探っており、国外への積極的関与には懐疑的なスタンスを示している。

7月には頼氏がニューヨークでの乗り継ぎを米国に拒否されたことを受け、外遊を延期したと報じられた。米紙ワシントン・ポストは2カ月後、トランプ氏が台湾向けの4億ドル(約600億円)超の軍事支援パッケージの承認を見送ったと伝えた。

中国政府は台湾を巡る米国の立場を台湾独立を「支持しない」から、明確に「反対する」へと転換するよう米政府に改めて圧力をかけている。

頼氏はノーベル平和賞の受賞を目指すトランプ氏を意識し、同氏が中国に台湾への武力を行使しないと恒久的に約束させることができれば、受賞は「確実」だと述べた。

頼氏はまた、平等と尊厳を前提に中国との交渉に臨む用意があるとし、人工知能(AI)向けの最先端半導体で世界をリードする台湾積体電路製造(TSMC)による海外投資も支持すると表明。

「台湾は米国と協力する用意があり、米国が再工業化し、AIの世界的中心となる取り組みを支援する。そうすることで、米国は引き続き世界を主導し、再び偉大な国になることができる」と語った。

ラトニック米商務長官は台湾に対し、投資と半導体生産を米国へ移し、米国内需要の半分を米国内で製造するよう求めている。こうした提案は、中国による攻撃の際に米国が台湾防衛に踏み切る動機を弱めかねないとの懸念を呼んでいる。

台湾側はこの要請には応じない考えを示す一方で、信用保証などを通じて、米国内へのテクノロジー企業の投資を支援する用意があるとしている。

原題:Lai Urges Trump to Back Taiwan as Doubts Rise Over US Commitment(抜粋)

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