米電気自動車(EV)メーカー、テスラやビットコインなど単一銘柄のリターンを3倍に高める上場投資信託(ETF)を販売する申請が行われ、米証券取引委員会(SEC)が極めてリスクの高い金融商品を容認するのか注目されている。

ディファイアンスETFs、シームズ、ディレクションの3社はテスラ株やビットコインなどの日次(にちじ)リターンを3倍にするレバレッジ型ETFの申請を3日、SECに行った。

米国では現在、単一銘柄を対象としたレバレッジ3倍型のETFは存在していない。SECが定めるボラティリティー規制で倍率の上限が設けられているためだ。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏は「ETF市場の今の流れとしては自然な動きだ。各社は差別化のために行けるところまで行こうとしている」と語り、「以前は手数料の値下げ競争をしていたが、今は分配金や利回り、レバレッジといった要素で競い合っている」と指摘した。

 

レバレッジ型ETFに対しては、高リスクかつ不透明な商品で、経験の浅い投資家を誘惑していると批判する声もある。

欧州市場で取引されている単一銘柄を対象にした3倍レバレッジ型商品の中には急速に価値を失っているものもある。「Leverage Shares 3x Tesla ETP」の場合、テスラ株が年初来で11%上昇している一方、今年に入って65%下落している。

今回の申請について、ディファイアンスETFsのシルビア・ジャブロンスキー最高経営責任者(CEO)はコメントを控えている。ディレクションとシームズの担当者も問い合わせに対してコメントしていない。

米国の多くの企業はトランプ米政権下のSECがより柔軟な姿勢を取ると期待を寄せている。SECは現在、米政府機関の閉鎖を理由にコメントの要請への回答を控えている。

一方、複数の業界関係者は、単一銘柄を対象にしたレバレッジ型ETFの基礎資産にできる有価証券について、SECがすでにガイダンスを明確にしたと指摘している。

原題:Wall Street Tests Regulators’ Risk Appetite With 3x ETF Bids(抜粋)

--取材協力:Sam Potter.

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