(ブルームバーグ):中国系動画投稿アプリのTikTokは、インドネシアの利用者のオンライン活動に関する膨大なデータを同国政府に週末提出した。東南アジア最大の市場インドネシアでの免許停止を回避する狙いがあり、慎重な取り扱いを必要とする機微情報が含まれていた可能性がある。
政府当局によると、TikTokはウェブトラフィックの動向からオンライン賭博が疑われる行為まで幅広い情報の開示を行った。通信デジタル省は、8月後半に反政府デモが発生した後のオンラインストリーミング急増に注目し、TikTokのデータを求めたという。
インドネシア政府は先週、8月に抗議活動が広がった際のユーザーデータを提出しなかったとしてTikTokの営業免許を一時停止した。同国ではバイクタクシー運転手が警察車両と接触し、死亡したことをきっかけに抗議デモが激化し、全国各地に波及した。
現地警察によると、一部のTikTokユーザーはデモの最中にアプリでライブ配信を行い、視聴者から投げ銭やギフトを得ていた。通信デジタル省は6日、TikTokから提供された情報にライブ配信の件数やギフトの総額が含まれていたと明らかにした。
通信デジタル省幹部のアレクサンダー・サバー氏はテキストメッセージで、「提供された要約データは特定の利用者に関するものではなく、デモをライブ配信したアカウントを含め個人を追跡・監視する目的で使うことはできない。特にオンライン賭博のような違法行為の収益化が引き続き主な焦点だ」と強調した。
TikTokは3日、法令を順守し、「当社のプラットフォームがインドネシアのコミュニティーにとって安全で責任ある体験を提供できるよう」力を注いでいると説明した。6日に追加のコメントを求めたが、返信はなかった。
中国の字節跳動(バイトダンス)が運営するTikTokは、世界有数の人気SNSで、インドネシアでは主要な電子商取引サービスも展開する。同国での利用者は1億人を上回る。
原題:TikTok Averts Indonesia Shutdown After Sharing Streaming Data(抜粋)
--取材協力:Newley Purnell、Chandra Asmara.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.