(ブルームバーグ):トランプ米政権の人工知能(AI)・暗号資産(仮想通貨)政策を統括するデービッド・サックス氏は6日、政権の対中政策を擁護し、米国がAI分野で覇権を握ることが不可欠だと主張した。対中強硬派からの批判に反論した形だ。
サックス氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「私は自分が対中強硬派だと考えている」とした上で、「米国がこのAI競争に勝つことを望んでいる。中国がAI競争における最大のライバルだと認識しており、勝つためにできる限りのことをしたい」と述べた。
ワシントンの対中強硬路線の支持派は、トランプ政権下で対中姿勢が軟化しているとの懸念を強めている。トランプ氏が方針を転換し、エヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が中国に一部のAIチップを販売するのを認めたことに加え、対中投資規制および台湾政策で譲歩する可能性が問題視されている。
サックス氏は、エヌビディアとAMDによる非先端AI半導体の対中販売を認めたトランプ政権の決定を擁護。バイデン前政権も以前、輸出規制に対応するために設計されたエヌビディアのAIアクセラレーター「H20」の販売を承認していたと指摘した。

さらに、「これはまさにトランプ大統領がやるまでは誰も問題視しなかったという典型例だ」と語った。
元ベンチャーキャピタリストのサックス氏は、AI分野で主導権を握るには米国が世界シェアで中国に対する優位を維持することが重要だと強調。バイデン政権の「AI拡散ルール」を通じた半導体輸出制限を批判した。トランプ氏は5月に同ルールを撤廃している。
サックス氏はまた、米国のAIインフラを中東などの市場に輸出することで、米国製技術基盤の利用者数を最大化し、中国の影響力を抑えられると説明した。
「トランプ大統領の政策はむしろ中東から中国を締め出すものであり、前政権の政策こそがこうした国々を中国側に追いやっていた」との見方を示した。
原題:Trump’s AI Czar David Sacks Rebuffs Criticism of China Stance(抜粋)
--取材協力:Kate Sullivan.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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