キャビア、シャンパン、足を思い切り伸ばせる座席、そして27インチのスクリーン。米国の旅行者は、経済の先行き不安など気にせず飛行機での移動を快適にするためにお金を惜しまず使う傾向にある。航空各社はこの需要に乗じようと、グレードの高い座席の割合を増やしている。

米大手航空会社は、高級志向の旅行者を取り込むため国際線の大型機の一部にプライベートスイートの座席を導入するなど、キャビンの改修に乗り出している。

ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は最近のブルームバーグのインタビューで 「以前からプレミアムへの需要はあったが、われわれはその需要に応えていなかった。十分な商品がなかった」と語っている。

同社はこれまで大きめの座席を提供する一方で、豪華な食事や最新の機内テクノロジーの導入に消極的だった。カービー氏は、現在追加したサービスに乗客は夢中だと指摘した。

専門家は変化の背景に快適で個人に特化した飛行体験を求める意識の高まりがあると指摘する。出張と私的な滞在の組み合わせや、新型コロナ禍後の「リベンジ旅行」ブームがその一因だ。

しかしその結果、多くの米国人が慣れ親しんできたエコノミークラスが犠牲になっている。

ドイツ銀行のアナリストは最近のリポートで「過去10年で、プレミアムな座席の売上高の成長はエコノミークラスを上回っている」と指摘。ハイエンドの顧客はクレジットカードなど他の特典も多く利用するため「利益率を高める」顧客だという。

ユナイテッド航空は5月、主に国際線で運航するボーイング787-9型機で座席の約45%を占める99席をプレミアム仕様にすると発表した。サンフランシスコとシンガポール、ロンドンを結ぶ路線で2026年に就航予定だ。

また、デルタ航空のグレン・ホーエンスタイン社長は、来年はプレミアムシートの数が過去最多になる一方、国内線のエコノミーシートは横ばいか少し減少するという見通しを示している。

同社長は9月の業界会議で売り上げの50%超がプレミアム商品やサービスなどに関連していると明かした。

アメリカン航空は6月に新型ボーイング787-9型機でスイートシートの運航を始めた。30年までに同型の30機を新たに導入し、フルフラットおよびプレミアムエコノミーの座席数を全体の50%にまで増やす計画だ。

 

原題:Expanding Luxury Cabins Put the Squeeze on Economy Airline Seats (Correct)(抜粋)

--取材協力:Stephanie Davidson.

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