国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、新たな自民党総裁が選出された後も、自民、公明両党と直ちに連立政権を組むことには否定的な考えを示した。ガソリン暫定税率の廃止と年収の壁引き上げの実現を見定める構えだ。

ブルームバーグとのインタビューで、「いきなり連立はあり得ない」と述べた。178万円を目指した所得税の控除額などの引き上げとガソリン税の暫定税率廃止が秋の臨時国会で実現する道筋が付けられれば、信頼関係も醸成されると指摘した。

国民民主党の玉木代表

その上で、支援者を含め「この政権と組めば政策は実現すると思えば、より踏み込んだ、より広範な協力や合意に行ける」と、将来の連立入りには含みを持たせた。

4日に投開票が迫る自民党総裁選では、野党との連携のあり方も争点となっている。高市早苗前経済安全保障担当相らは国会での首相指名選挙までに連立拡大を模索する考えを示しているが、玉木氏は早急な合意は難しいとの姿勢を明確にさせた。

小泉進次郎農相は、協議を通じた信頼関係を構築の先に連立を模索したい考えで、林芳正官房長官も政策協議と連立交渉を同時に進める考えだ。

玉木氏は「ポストは興味がない」とも話し、あくまでも政策実現を優先する姿勢を強調した。

新政権が編成すると見込まれる補正予算案への賛否については、特に年収の壁の引き上げ幅を見極めたい考えだ。

玉木氏は「178万円は目指す目標であるためぴったりでなくても良い」とした上で、石破茂政権と比べて「前に進んだ姿が見えるかどうかは大事」だと話した。国民、自民、公明3党の幹事長は昨年12月に合意した。2025年度税制改正で所得税の課税最低限引き上げは160万円にとどまったほか、所得制限を設けたことで国民は反対した。

日銀ETF売却

日本銀行が9月19日に決定した保有する上場投資信託(ETF)の売却ペースは長すぎるとの考えも示した。日銀は簿価ベースで年間3300億円(時価で6200億円)の保有ETFを売却することを決定。完全売却までには100年以上要する計算になる。

玉木氏は、ある程度の期間中に計画的に売却することには賛成だが、「100年かける必要はない」と述べた。日銀がETFを買い入れた同程度の「15年かけて売ったらいい」と主張した。国庫納付金を通じて政府が得る売却益は防衛費や教育予算などの財源に充てられるとも述べた。

また、現在の政府と日銀の共同声明(アコード)はデフレ時代のものだと指摘し、共通目標に名目賃金の上昇を追加すべきだとの考えも示した。賃金上昇率を巡って政府は5月、29年度までの5年間で実質賃金を年1%程度上昇させる目標を設定した。国民も公約で物価上昇率プラス1%の名目賃金上昇を掲げている。

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