(ブルームバーグ):イタリアの高級ブランド、ヴァレンティノが債務契約の条件に違反し、債権者と協議に入っていることが、複数の関係者の話で明らかになった。高級品市場の減速により業績が悪化していることが背景にある。
同社は債務対利益比率が与信契約で定められた上限を超えたことを受け、コベナンツ(財務制限条項)の緩和を求めて交渉している。非公開の情報だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。ヴァレンティノはカタールの投資グループ、メイフーラ・フォー・インベストメンツと仏ケリングが所有する。
経済を巡る不透明感や関税引き上げの影響で、高級品市場は世界的に低迷しており、ヴァレンティノの業績を圧迫している。関係者によれば、同社が最初に債務契約に違反したのは2024年12月だった。その後25年上期には業績がさらに悪化し、利益が大きく落ち込んだという。
ブルームバーグが確認した資料によると、ヴァレンティノの債務の大部分は、24年にインテーザ・サンパオロ、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行、バンコBPM、BNPパリバなどで構成する銀行団が提供した5億3000万ユーロ(約930億円)の融資が占める。24年7月に締結された同契約では、債務対利益比率が一定の水準を超えないよう求める条項があり、半年ごとに検証される内容が盛り込まれていた。
ヴァレンティノ、メイフーラ、ケリングはいずれもコメント要請に応じなかった。インテーザ、モンテ・デイ・パスキ、バンコBPMはコメントを控えた。BNPパリバはコメントの要請に応じていない。
グッチを傘下に置くケリングは23年、ヴァレンティノの株式30%を取得。今月にはメイフーラから残りの全株式を買収するオプションの期限を29年まで延期した。
ケリングによる出資は、グッチへの依存度を下げる狙いがあるとみられていた。グッチはケリングの稼ぎ頭だが、近年は業績不振が続く。
しかし、ヴァレンティノが4月に発表した24年業績は、売上高が2.8%減の13億1000万ユーロ、EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却前利益)が21%減の2億4800万ユーロとなった。
原題:Valentino in Talks With Banks as Luxury Drop Prompts Debt Breach(抜粋)
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