25日の米金融市場で、ドル指数は前日に続いて大きく上昇し、一時9月3日以来の高値を付けた。この日発表された米国の指標で経済が堅調に拡大していることが示された。円は対ドルで一時149円90銭台に下落した。

ドルは前日に続き、他の主要通貨全てに対して上昇。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時、前日比0.6%上げた。

円は米指標の発表後、ドルに対して下落。その後も下げを拡大する展開で、一時は0.7%安の1ドル=149円93銭を付けた。

先週の米新規失業保険申請件数は、前週比1万4000件減の21万8000件と、7月中旬以来の低水準。企業が依然としてレイオフに消極的であることを示唆した。

4-6月(第2四半期)の実質国内総生産(GDP)確報値は3.8%増と、ほぼ2年ぶりの高い伸びとなった。個人消費の上方修正が寄与した。

グラナイト・ベイ・ウェルス・マネジメントのポール・スタンリー氏は、GDPは「過去の動向を示すデータだ」とし、連邦準備制度理事会(FRB)が想定する利下げの道筋がこれで変わる公算は小さいと述べた。

モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は「労働市場に亀裂が入っている可能性はあるが、最近それが広がったという兆しは、きょうのデータからはうかがえない」と指摘。

「GDPの上方修正と併せて考えると、米経済は数々の困難があるにもかかわらず、堅調を維持している」と述べた。

マイランFRB理事はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、迅速に利下げを行わなければ、経済に悪影響を及ぼすリスクがあると警鐘を鳴らした。

一方、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、インフレ抑制が求められるとして、FRBが近い時期に追加利下げを行う必要はないかもしれないとの認識を示した。

このほか、スイス国立銀行(中央銀行)は政策金利を0%に据え置いた。マイナス金利への回帰を避け、2023年3月以来の緩和サイクルを停止した。

株式

米株式相場は3日続落。米経済統計を受けて景気が底堅いことが示されたが、株価の割高感への警戒が広がった。

S&P500種株価指数の3日続落は、この1カ月間で最長。GDP統計は第2四半期の米経済が約2年ぶりの高い成長率となったことを示したが、株式相場への影響は限定的だった。

ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は「米経済が力強く成長している点について異論はない」とした上で、「そうした良いニュースの多くは織り込み済みであり、われわれが最も懸念しているのはバリュエーションだ」と述べた。

米株式市場は今年の安値から時価総額が15兆ドル(約2250兆円)余り拡大。米経済は失速していないとの見方や、企業利益の改善や人工知能(AI)ブームが相場を押し上げるとの観測が背景にある。

この結果、S&P500種の1年先の予想株価収益率(PER)は22.9倍という高水準に上った。

アメリプライズのアンソニー・サグリンビーン氏は「ある時点で、相場が何らかの形で調整あるいは下落局面を迎えることを想定すべきだ」と話した。

FRBは雇用市場に重点を移しているが、26日には8月の米個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。

食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数は前月比0.2%上昇の予想。7月は0.3%上昇だった。前年同月比では2.9%上昇と、7月と同じ伸びが見込まれている。

eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は、「アクティブ投資家はインフレ指標が予想通りかそれを下回る結果となり、米金融当局が2025年にあと2回の利下げを実施するペースを維持することを望んでいる」と指摘。「投資家は利下げを期待しているが、経済が堅調であることの方が重要だ」と述べた。

米国債

米国債相場は短中期ゾーンを中心に下落(利回り上昇)。新規失業保険申請件数とGDPが、市場予想以上の堅調さを示したことが国債売りにつながった。

この日は7年債入札が実施されたが、入札後もイールドカーブのフラット化の動きは続いた。

2年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。

シタデル創業者のケン・グリフィン氏はFRBが労働市場に重点をシフトさせる中、年内あと1回の利下げを予想するとCNBCで述べた。

原油

原油先物相場はほぼ横ばい。市場では、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)加盟国との緊張の高まりなどが意識された。

欧州の外交当局者らはロシアに対し、これ以上の領空侵犯があった場合にはロシア機の撃墜を含め、全面的な対応を取る用意があると警告した。事情に詳しい当局者が明らかにした。

この日の原油相場は、ロシア産原油の購入を巡るトランプ米大統領の発言にも反応。トランプ氏はトルコのエルドアン大統領とホワイトハウスで会談を行い、ロシア産原油の購入をやめるよう強く求めた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、前日比1セント(0.1%未満)安の1バレル=64.98ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は0.2上昇%し、69.42ドルで引けた。

金相場は上昇。スポット価格は早い時間帯に過去最高値に接近する場面もあった。株式市場でのリスク回避姿勢と、米経済の行方に対する懸念が金相場を下支えした。

米株市場が軟調となる中、金を裏付けとするETF(上場投資信託)への需要急増は、安全資産を求める動きの高まりを反映している。シティグループによれば、世界の金ETFへの資金流入は月初来で105億ドルに達し、過去最高を記録。年初来では500億ドルを超えたという。

同行アナリストはリポートで「今年の金需要はETFが他のすべての分野を上回り、金価格上昇の最大かつ最も重要な要因になっている」と指摘。「9月の金ETFへの資金流入は主に中国以外の地域が主導している。米労働市場の軟化、関税による成長懸念、米利下げサイクルや、米連邦準備制度理事会(FRB)人事も意識されている」と記した。

スポット価格はニューヨーク時間午後2時50分現在、18.93ドル(0.5%)高の1オンス=3755.09ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は3ドル(0.1%未満)高の3771.10ドルで引けた。

原題:Dollar at Highest in Three Weeks on Strong US Data: Inside G-10

S&P 500 Posts Longest Losing Streak in One Month: Markets Wrap

Treasuries Bear Flatten; Swap Spreads Wider After Logan Speech

Oil Prices Swing Amid Flare Up in Russia-NATO Tensions

Silver Hits $45 for First Time Since 2011 as Gold Nears Record(抜粋)

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