(ブルームバーグ):米投資ファンドKKRは、縮小する労働力を背景に技術力で生産性向上を図る日本の動きに投資機会を見い出している。同社のジョー・ベイ共同最高経営責任者(CEO)は人工知能(AI)関連やデータセンター分野に注目している。
ベイ氏は東京でブルームバーグのインタビューに答え、「われわれは日本の生産性を根本的に向上させる企業や産業への投資方法を模索している」と語った。「日本が自動化、ロボット工学、ソフトウエア、AIに投資しなければ、高齢化と人口減少はますます大きな課題となるだろう」とも指摘した。
ベイ氏は具体例として、熟練した人が提供するような技術やソフトウエアを開発する企業のほか、AI依存度の高まりで需要の増加が予想されるデータセンターに関連した開発や資金調達、運営に焦点を当てた投資を挙げた。

世界的にプライベートエクイティー(未公開株、PE)投資事業を巡る環境が厳しい中、ニューヨークに本拠を置くKKRにとって日本は数少ない成長地域となっている。市場規模は米国に次ぐ第2位で、投資ペースは10年前に比べ5倍になった。今年は日本で約30億ドル(約4460億円)の取引を成立させている。
日本は他の主要国に比べ低い金利や円安を背景にPEファンドから強い関心を集めている。企業統治改革に伴う上場会社の非公開化や非中核事業売却の動きを注視している。ベイ氏と共同CEOのスコット・ナタール氏は、KKR初のアジアでの四半期取締役会に出席するため来日した。赤坂の迎賓館で日本企業幹部との夕食会も開催された。
データセンターに大きな電力需要
インタビューに同席したナタール氏は、日本は1980-90年代の米市場に似ており、上場企業約4000社のうち半数近くの企業で株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回っていると指摘する。「米国では2万1000社がPEファンドなどに保有されているが、日本では1200社に過ぎない」とし、「非常に大きな進出機会がある」と述べた。

ベイ氏は、主に国内向けビジネスを手掛ける日本のテクノロジー企業やソフトウエア関連企業に投資を集中することで、トランプ米大統領の関税政策が引き起こす世界貿易の変化やマクロ経済の不確実性からKKRを守ることにもつながると語った。
東京はロンドンやフランクフルトより大きなデータセンター市場になる可能性を秘めていると、ベイ氏はみている。
ただ、日本では電力供給の制約が障害になるとして、原子力発電の拡大や液化天然ガス(LNG)の輸入増加が必要になるとも指摘。電力供給を増やすめには政府の支援が欠かせないとみている。日本を含むアジア諸国での需要増を見込み、「われわれは米国でLNG輸出に関連する大型投資を行ってきた」と述べた。
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