(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバー理事は、銀行の自己資本比率の設定はストレステスト(健全性審査)の結果と切り離すべきであり、各行の状況をより反映させる必要があるとの見解を示した。銀行業界からストレステストの緩和を求める声が上がる中、同理事はテストの厳格性を維持する方策を模索している。
バー氏は25日のピーターソン国際経済研究所での講演で、ストレステストのモデルやシナリオを事前に開示することや、ストレステストの結果を画一的な資本要件に結び付けることに異議を唱えた。そうした場合、資本水準が「現在よりも各行の実態に合わず、固有のビジネスモデルやエクスポージャー、リスク特性が反映されなくなる」と指摘。
「当局はストレステストを緩和するのではなく厳格性を維持して、例外的な状況では資本構成やリスク、複雑さ、金融活動など各行の事情に基づいて個別の資本要件を課す権限を行使すべきだ」と述べた。その上で、ストレステストは今後も引き続き重視されるが、「質的要素や監督当局の判断も考慮される」とした。

ストレステストは2008年の金融危機後に、将来の経済ショックに対する銀行の耐性強化と、景気後退時の健全性検証を目的に導入された。バー理事は推進派の一人だ。銀行業界はこうした規制の過度な負担が本来の機能を阻害するとして、資本要件に結び付いた規制を変更するよう訴えてきた。
今回の発言は、FRBが進めるストレステスト制度の大幅な見直しを前に出たものだ。FRBの銀行監督を担当するボウマン副議長は、必要資本水準の年ごとの変動を平準化するため、モデルの一部を事前に金融機関に開示する方針を示している。
見直し案には、ストレス下での銀行の損益を推定するモデルを開示して意見を募ることや、年次テストに用いるシナリオを確定する前に公表して意見を公募することも含まれる。
FRBは4月、ストレステストの結果を2年間平均する見直し案を発表。また「ストレス資本バッファー要件」の施行期日を遅らせ、新たな資本要件への対応で時間的余裕を与える意向を明らかにしていた。
バー理事は講演で、ストレステストの事前開示への反対を表明。「事前に詳細を知ることができれば、銀行が資本要件を下げるために結果を操作する可能性が高まる」と指摘した。
原題:Fed’s Barr Offers Alternative Reforms to Big-Bank Stress Test(抜粋)
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