(ブルームバーグ):スイスの銀行UBSグループは、米国の富裕層向け資産運用アドバイザーの報酬を引き上げる。競争が激化する中で人材の流出を防ぎ、採用にもつなげる狙いだ。
事情に詳しい関係者によると、UBSは今月初め、数千人規模の米国の富裕層向けアドバイザーに対し報酬を増額すると社内で通達した。非公開の情報であることから関係者は匿名を条件に語った。
グローバル・ウェルス・マネジメント部門共同責任者のロブ・カロフスキー氏と米ウェルス・マネジメント部門責任者のマイケル・カマチョ氏がプレゼンテーションで、来年1月1日からの以下の変更を説明した。
- 年間収入100万-300万ドル(約1億5000万-4億4000万円)を生み出すアドバイザーの報酬率を引き上げ
- 年間収入300万-400万ドルのアドバイザーに対する現金支給額を増額
- 年間2000万ドル超の収入を生み出すトップアドバイザー向けに新たな報酬区分を創設
人材の移動は業界全体で見られるが、特にUBSでは米国のアドバイザーが他社へ移籍したり独立したりする事例が報じられている。トッド・タックナー最高財務責任者(CFO)は2月、富裕層向けアドバイザーの一部報酬を昨年削減したことの影響で、他社への流出が増えるだろうと警告していた。
UBSは今回の変更についてコメントを控えた。
UBSの米国の金融アドバイザーは同行の商品を顧客に提供するが、銀行との結びつきは通常の従業員ほど強くない。米州の富裕層部門は同部門の中で最もコスト比率が高い。
関係者によると、新設した年間収入2000万ドル超の報酬区分では、生み出した収入の60%がアドバイザーに支払われる。同行はまた、アドバイザー向けの業務経費手当を拡充し、繰延報酬の一部をより多くUBS株式で受け取れる選択肢も用意した。
新たな報酬体系では勤続年数も考慮され、同行への忠誠度に応じて優遇されるという。
原題:UBS Sweetens Payouts for US Wealth Advisers to Stem Defections(抜粋)
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