(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)の年内利下げに対する期待が市場で後退している。連邦準備制度の当局者によるさまざまな発言が出て、金融政策の方向性を見極めにくくなっている。
担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプション取引は、市場参加者が年内の追加利下げが25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の1回にとどまると見込んでいることを示している。先週時点では、年内50bp利下げ見通しを反映したオプション取引が増加していた。
ここ数週間、米金融当局者の見解には幅が見られ、市場の利下げ見通しの変化を促している。トレーダーらは、大幅利下げから慎重姿勢まで複数のシナリオに備えてヘッジを進めている。

マイラン連邦準備制度理事会(FRB)理事は、政策金利が高過ぎるとし、年内残り2回のFOMC会合での計125bpの利下げの必要性について説明した。一方、アトランタ連銀のボスティック総裁は23日、FOMCは物価上昇に対して引き続き警戒を怠るべきではないと強調している。
パウエルFRB議長は同日の講演で、労働市場とインフレの見通しにはリスクがあると指摘したが、10月の次回FOMCで利下げを支持するかどうかについては、何も示唆しなかった。

オックスフォード・エコノミクスのアナリスト、ジョン・キャナバン氏は、「ここ数日の発言は、金利予測分布図(ドットプロット)に示されている大きな隔たりをまさに裏付けるものとなった」と指摘している。
FOMCは先週、今年初の利下げに踏み切り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4-4.25%となった。
スワップ市場には25bpの利下げ2回分が織り込まれていたが、FOMC会合以降、それよりも少ない利下げを見込む取引が活発化。さらにより長期では、景気を熱しも冷やしもしない中立金利が3%近辺に達するとの見方を反映したオプションへの需要も高まっている。
金利スワップ市場では足元で、中立金利は約2.95%、年内残り2回の会合で計40bp程度の利下げが織り込まれている。



原題:Divided Fed Has Bond Traders Hedge Wide Range of Policy Outcomes(抜粋)
--取材協力:Michael MacKenzie.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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