(ブルームバーグ):24日の日本市場は債券相場が長期債中心に上昇(利回りは低下)。米国で長期金利が低下した流れに加え、財政拡張に対する警戒感が後退していることも相場を支えた。円は1ドル=148円台に下落。株式は続伸した。
自民党総裁選に立候補している高市早苗前経済安全保障担当相は23日、現在の税収の余剰分を充てつつも「どうしてもというときには、国債の発行もやむを得ない」と発言した。24日の討論会では、財政・金融政策の方向性を決める責任は政府にあるとした上で、金融政策の手段は日銀が決めるべきだと述べたが、相場の反応は限定的だった。
各種調査などでは小泉進次郎農相の優勢が伝わっている。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「高市氏の総裁選勝利はメインシナリオでないことに加え、従来に比べ発言がトーンダウンしているので、それほど影響はない」との見方を示した。
債券
債券相場は上昇。米国市場でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けて長期金利が低下した流れを引き継いだ。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留氏は、自民党総裁選で過激な財政拡張を主張する候補がおらず、日本国債版の恐怖指数であるS&P/JPX 日本国債VIX指数が低下していることも買い安心感につながっていると言う。25日に予定される40年利付国債入札は「無難に消化される」と予想した。
日銀は午前10時10分に定例の国債買い入れオペを通知。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下で、買い入れ額はいずれも据え置いた。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円相場は1ドル=148円台に下落。自民党総裁選挙を巡り、高市氏の政策に対する警戒が円の重しになった。午前10時前の仲値に向けた実需のドル買いもドルを支えた。
三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは、特段の材料が見られない中でドルが買われていると指摘。高市氏が金融政策の手段は日銀に委ねると述べたことについて、マイルドな表現になっているだけでスタンスは変わっていないとの見方が市場にはあるのではないかと述べた。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、ドル・円は148円を超えて上昇する材料が見当たらないと語る。自民党総裁選で高市氏や小泉氏の発言が出ているものの、首相になるために本来の主張を引っ込めている感じがあり、材料になっていない状況だと述べた。
株式
株式相場は続伸。日経平均株価は22日に続いて終値での最高値を更新した。ソフトバンクグループや日立製作所、東京エレクトロンといった人工知能(AI)関連の一角や三菱重工業など防衛関連が買われ、株価指数を押し上げた。
AI関連株は米国発のポジティブな報道や企業決算に加え、中国のアリババグループがAI投資拡大を明らかにしたことも追い風となっている。
野村証券の小高貴久シニア・ストラテジストは、パウエルFRB議長が米株高に警鐘を鳴らしたこともあり午前中は売りが膨らんだが、市場が冷静さを取り戻したと指摘。実需がしっかりと見えているAI関連や防衛関連がけん引し、株価指数のマイナスを打ち消したと述べた。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは「テーマ性のある銘柄を中心に、上昇相場で買いそびれていた投資家の資金が入った」と話した。自民党総裁選については「各候補者の発言は慎重で安全運転という印象。株式市場では新たに材料視する雰囲気ではない」と言う。
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