マーケットで話題になったニュースをお届けします。一日を始めるにあたって押さえておきたい5本はこちら。

困難な道

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は講演で、「短期的なインフレへのリスクは上方向、雇用へのリスクは下方向に傾いており、厳しい状況だ」と発言。追加利下げを検討する上で困難な道が待っている可能性が高いとの認識を示した。金利見通しに関する言及はなかった。ボウマン副議長(銀行監督担当)はこれより先、労働市場が弱含む中で対応が後手に回る恐れがあり、金利引き下げに向けて断固とした行動が必要だとの考えを表明。アトランタ連銀のボスティック総裁は今後もインフレ圧力が続くとの見方を示し、物価上昇に対して引き続き警戒を怠るべきではないと強調した。シカゴ連銀のグールズビー総裁はインフレが上昇傾向にあるとして追加利下げに対して慎重であるべきだと述べた。

国連を痛烈批判

トランプ米大統領は国連総会で演説し、国連を「空虚な言葉」ばかりだと強く非難した。さらに気候変動対策を「詐欺」、国境開放は国の破壊を招くと述べるなど、極端な持論を展開した。自身の外交努力を国連はあまり支援してこなかったと、冒頭から不満を吐露。メラニア夫人が乗った直後に国連のエスカレーターが故障し、自分の演説用プロンプターも壊れたと責め立て、20年前に国連本部の改修計画に入札したものの却下された個人的な恨みまで持ち出した。米国の不法移民取り締まりについては人道的な取り組みだと主張し、米国入国を目指す人々への暴力や死を防いでいるからだと述べた。

26年に関税リスク

経済協力開発機構(OECD)は最新経済見通しで、2025年の世界経済の成長率予想を3.2%と、前回6月から0.3ポイント引き上げた。米国の関税引き上げを見越した前倒しの動きが背景にあるとしている。米国は1.8%に0.2ポイント上方修正。人工知能(AI)分野への活発な投資が寄与するとみている。日本についても0.4ポイント引き上げ1.1%とした。世界経済は足元で想定以上の底堅さを示しているが、関税の影響はまだ完全には表れていないとOECDは指摘。26年の予測には大きな修正を加えず、関税引き上げと不透明感の高まりを背景に、世界の成長率は2.9%、米国は1.5%にそれぞれ鈍化するとの見通しを据え置いた。

金準備保管に名乗り

中国は外国政府が保有する金準備の保管国として名乗りを上げようとしている。事情に詳しい関係者が明らかにした。金市場における国際的な地位を強化する目的だという。関係者によると、中国人民銀行(中央銀行)が上海黄金交易所(SGE)を通じ、友好国の中央銀行に対して金を購入し、それを中国国内に保管するよう働き掛けている。ここ数カ月にこうした取り組みが行われ、東南アジアの少なくとも1国が関心を示しているという。高まる地政学リスクに対するヘッジとして各国は金購入を進めており、経済的衝撃への緩衝材として重要性を増した金の安全な避難地を人民銀が提供する好機が生まれている。

AIの将来に暗雲

コンサルティング会社ベインの試算によれば、人工知能(AI)企業は需要拡大に伴うコンピューティング能力の確保に向け、2030年までに年間で計2兆ドル(約300兆円)の収入が必要となる。だが、ChatGPTといったサービスの収益化は遅れており、データセンターや関連インフラへの支出に追いつかず、年間で8000億ドルの収入不足に陥る可能性がある。ベインのデービッド・クロフォード氏は「現在のスケーリング則が維持されれば、AIは世界的にサプライチェーンへの負担を強めていく」と指摘した。

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