(ブルームバーグ):領空を侵犯した外国機を撃墜する用意はできていると話したポーランドのトゥスク首相に、米国のルビオ国務長官は異論を唱えた。
ルビオ氏は23日に行われたCBSニュースとのインタビューで、「攻撃された場合を除き、ロシア機を撃墜すべきだとは誰も言っていないと思う」と述べ、ロシアに厳しい警告を前日に発したトゥスク氏とは異なる見解を示唆。「北大西洋条約機構(NATO)の対応は、これまで常にそうしてきたやり方だ。つまり、領空や防空圏に入ってきたら態勢を取って阻止する」と続けた。
ルビオ氏は「米国は同盟国と協力し、NATO領域の隅々まで守る」とも述べたが、発言はロシアと直接対峙(たいじ)する場合に米国は欧州のNATO加盟国を支援するのかという懸念をいっそう深めそうだ。
集団防衛に対する米国のコミットメントには疑問符が付き、米国が領空侵犯を重大視していないと受け止められれば、ロシアが一段と大胆な行動に出る恐れもある。
ロシアの戦闘機は今月19日、12分間にわたってエストニアの領空を侵犯し、NATOはエストニアの要請に基づき23日に協議を実施した。エストニアはこの侵犯について、欧州とNATOの決意を試すロシアのより広範な戦略の一環だと位置付けている。ロシアの領空侵犯はポーランドでも今月発生し、NATO軍としてロシアがウクライナを侵攻して以来初めて、侵入したロシアのドローン(無人機)を撃墜した。
ポーランドのトゥスク首相は22日、許可なく領空に侵入する外国機は撃墜する用意があると警告した。欧州当局者はポーランドには自衛の権利があると述べて同国への支持を表明し、ロシアは領空侵犯がどこまで容認されるのか試しているに過ぎないとの見解を示した。
ポーランドとエストニアはいずれもNATO第4条を発動して協議を招集。NATOとして協調した行動を取る道筋を開いた。
トランプ米大統領はここ数日、ロシアの領空侵犯について「偶発的なものか、あるいは単なる『間違い』だったのか分からない」を述べるなど、事態を深刻とは捉えていない様子を見せている。
一方、他国はロシアがウクライナ支援国の決意を試すために行った意図的な行為だとみており、NATOのリソースがウクライナに向かうのを妨げようとしているのではないかとの見方を示す国もある。
NATOは23日、エストニアの要請で開催した会合の後で声明を発表。ロシアの領空侵犯に「強力な」対応を取るとし、防衛のため軍事を含むあらゆる手段を行使すると表明した。
「国際法に基づき、あらゆる方向からのすべての脅威に対する防衛および抑止のため、必要な軍事的・非軍事的手段を講じる」とし、「ロシアによるこうした行為やその他の無責任な行為に屈することはない」と強調した。
ルッテNATO事務総長は、さらなる領空侵犯を防ぐためロシアを畏怖させる覚悟がNATOにあるかとの問いに、「当然だ」と答えた。
原題:Rubio Pushes Back on Tusk Threat to Shoot Down Russian Aircraft(抜粋)
(ルビオ米国務長官の発言を中心に情報を加えます)
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