(ブルームバーグ):中国のレアアース(希土類)製品輸出が記録的な水準に拡大する中、一部の欧州企業は同国からのレアアース供給不足により生産停止に追い込まれている。
在中国欧州連合(EU)商工会議所は18日、中国からの供給不足により、EU企業の間で8月は7件の生産停止があったほか、9月にさらに46件の生産停止が見込まれていることを明らかにした。影響を受けた生産施設の規模や業種については公表されていない。
中国・上海支部責任者でEU商工会議所バイス・プレジデントのカルロ・ダンドレア氏は同市内での会見で「状況は進展しているが、そのペースは極めて遅い」と述べた。ダンドレア氏は、今のところ供給の目詰まりが加盟企業が直面している最大の課題だと指摘した。
この問題は米中貿易戦争の波及的な影響を浮き彫りにしている。19日に予定されている米中首脳電話会談では緊張の緩和が期待されている。
中国が一部のレアアースを対象に輸出規制を導入したため、今年4月以降、中国からのレアアース供給には大きな乱れが生じた。この規制は、世界生産の9割を中国が占めるレアアース市場に影響を与え、電気自動車(EV)から風力タービンに至るまで主要産業に混乱をもたらした。
その後、米中両国が関税休戦に合意し、8月の中国からのレアアース製品輸出総量は少なくとも2012年以降で最高水準に達したが、欧州企業からは、取り残されているとの声が上がる。
ダンドレア氏は、欧州企業の間では輸出ライセンスの取得期間にばらつきがあることが懸念されていると指摘、「米国企業がこのライセンスを非常に迅速に取得できることは承知している」と語った。さらに「中国商務省側で簡単に解消できるボトルネックがある」とも語った。
輸出ライセンスの承認を担当する中国商務省は、コメントの要請に応じなかった。

原題:EU Firms Face New Production Halts on China Rare Earth Pinch (1)
(抜粋)
--取材協力:Jing Li、Tian Ying、Lucille Liu.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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