(ブルームバーグ):9月第3週(16-19日)の日本株は上値の重い展開となる見通し。米国金融政策の年内の利下げパス(経路)を見極める姿勢が強く、自民党の総裁選情勢も気がかりだ。米利下げや国内景気対策への期待先行で相場は強含んできたため、高値圏で売りも出やすい。
米国では16日に8月の小売売上高が発表され、16-17日の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。ブルームバーグのエコノミスト予想では、小売売上高は前月比0.2%増(前回0.5%増)へ鈍化する見込み。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、今回のFOMCで0.25ポイントの利下げが確実視されている。
基調的なインフレ率が8月に予想通りの上昇にとどまり、市場では年内3回の米利下げが織り込まれている。利下げで深刻な景気後退は回避できるとの楽観論が引き続き米国株を下支えする半面、小売売上高が予想以上に下振れた場合や米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の会見内容が波乱を招くリスクはある。
国内では自民党総裁選(22日告示、10月4日投開票)を巡り、昨年の総裁選で上位だった高市早苗前経済安全保障担当相と小泉進次郎農林水産相の動向や発言が材料視されやすい。ただし、第2週の東証株価指数(TOPIX)は週間で1.8%高と続伸、最高値を更新するなど次期政権の政策期待は相場に織り込まれつつある。新規材料に乏しければ、利益確定売りが上値を抑えかねない。
18、19両日は日本銀行の金融政策決定会合があり、エコノミスト予想では金融政策の現状維持が予想されている。結果発表後の植田和男総裁の会見で、今後の利上げ環境についてどのような認識を示すかが焦点だ。15日は敬老の日で休場。

《市場関係者の見方》
三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジスト
高値圏でもみ合い。米国は雇用が弱く、利下げに対する期待値が大きい。ただ、景気が悪化する前に利下げで軟着陸するという市場の期待に反し、本当に恐いのは景気が悪化していることだ。まずは16日の米輸入物価と個人消費の動向を見極めたい。自民党総裁選では党内で人気の高い小泉氏の成長戦略が注目される。
SBI証券の鈴木英之投資情報部長
波乱余地は大きくなく、もみ合いになりそうだ。FOMCはドット・プロット(金利予測分布図)やパウエルFRB議長の発言など注目点は多い。予想通りなら、いったん材料出尽くしになる可能性はある。自民党総裁選では「高市次期首相」を余り織り込むと、しっぺ返しが来るかもしれない。
--取材協力:我妻綾.
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