(ブルームバーグ):馬雲(ジャック・マー)氏が支援する中国のフィンテック企業アント・グループは11日、同社で初めてとなる人型ロボットを披露した。いわゆるフロンティア技術で激化する米国と中国の企業間競争に参入した。
アント傘下の上海螞蟻霊波科技が、上海で人型ロボット「R1」を公開した。このロボットは観光ガイドや薬局での医薬品の仕分け、医療相談の対応、簡単な調理補助などの作業が可能だという。
アントは人型ロボットの分野に最近参入した大手企業で、電気自動車(EV)メーカーの米テスラや中国のスタートアップ、杭州宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)などと競合している。
すでに中国では、工場のロボット密度が労働者1人当たりで米国や日本を上回っており、さらに複雑な役割を持たせるための開発が進んでいる。
他社がハードウエアの開発に重点を置く中、アントはロボットの頭脳の開発に注力。人型ロボットを、人工知能(AI)チャットボットやアシスタントの普及に向けた戦略的な入り口と位置づけている。
上海螞蟻霊波科技の最高経営責任者(CEO)の朱興氏は、まだ初期段階ではあるものの大規模なAIモデルが人間と機械の関わり方を近々大きく変えると語っている。
アントによると、同社のAIが支援するR1は、食べ物の調理や配膳作業の計画や実行が可能。さらに理論的には新しいレシピを学んだり、中華鍋からコンロまでさまざまな調理器具の使い方を習得したりすることもできるという。空間認知システムによってテーブルや電化製品など物体間の位置関係を把握できるとしている。
ブルームバーグはアント側の主張を独自に検証はしていない。安全面への懸念もあり、同社はコミュニティーケアセンターやレストランなどでのテストを行っている段階で、一般向けには販売していない。価格も未定だ。長期的には、医療支援や家事といった生活を支えるコンパニオン型および介護用ロボットの開発を目指している。
原題:Jack Ma-Backed Ant Showcases First Entry in China’s Robot Race(抜粋)
--取材協力:Jessica Sui.
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