ニューヨーク市警(NYPD)のティッシュ本部長は、米国最大の都市である同市を州兵が巡回する事態は望んでおらず、トランプ大統領が複数都市に部隊を派遣する可能性について「強い嫌悪感」を示している。

ティッシュ氏は8日、マンハッタン中心部でのイベントで、州兵は路上犯罪に対応する訓練を受けておらず、都市部に派遣されれば新たな問題を招きかねないと述べた。トランプ政権は移民政策への抗議活動などに対応する治安維持策として、これまでロサンゼルスと首都ワシントンに州兵を派遣。シカゴやニューヨークにも部隊を投入すると繰り返し示唆している。

NYPDティッシュ本部長

「州兵をニューヨーク市や全米の大都市に派遣することについて、私が強く懸念しているのは、混乱や無秩序、混同を招き、逆効果となる点だ」とティッシュ氏は指摘。「生粋のニューヨーカーとして、街に軍事色が持ち込まれるという事実に対して強い嫌悪感を抱いている」と述べた。発言は超党派の財政監視団体、シチズンズ・バジェット・コミッション主催のイベントでのもの。

同氏は連邦政府に対し、州兵の派遣ではなく、ニューヨーク市での銃削減に向けた支援や、銃犯罪を担当する連邦検察官の増員を望んでいる。「連邦政府とは正しい形での協力関係に焦点を当てるべきだ。州兵の派遣はその在り方ではない」と語った。

ニューヨーク市の犯罪件数は今年、主要なカテゴリーすべてで減少しており、8月までの通報件数は前年比4.5%減少。8月までに発生した銃撃事件の報告件数は489件で、前年から19%減少している。

ニューヨーク市の安全は自分たちで守るとティッシュ氏は語り、「その点で連邦政府の助けは必要なく、望んでもいない」と語った。

原題:NYPD’s Tisch ‘Revolted’ by Idea of Federal Troops on NYC Streets(抜粋)

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