(ブルームバーグ):トランプ米大統領は5日、欧州連合(EU)がアルファベット傘下のグーグルに制裁金を科したことに抗議し、通商法301条に基づく調査を開始する可能性を示唆した。米政府の調査次第では新たな関税発動につながる恐れがある。
欧州委員会は5日、グーグルが広告技術を巡り公平な競争をゆがめたとして、約30億ユーロ(約1兆3800億円)の制裁金を科した。
トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で「特にグーグルなど米ハイテク企業にこれまで科された多額の制裁金や税金と、今回の制裁金はまた別物だ」と指摘。「非常に不公平だ。米国の納税者は黙っていない!前にも述べたが、私の政府はこうした差別的な行為を見過ごしはしない」と続けた。
トランプ氏はこれまでにもブラジルのボルソナロ前大統領の起訴に抗議し、同国からの輸入品に制裁関税を課すのに「301条調査」を活用している。EUに対してはかねて米ハイテク企業への制裁金を批判し、今月にはデジタル課税や規制で米企業を狙い撃ちにするなら「大規模な」関税を発動すると脅していた。
欧州委員会はグーグルがウェブ上の広告取引において、支配的立場を乱用し、自社の広告取引プラットフォームに競合他社と比べ優位性を持たせたと指摘し、こうした慣行を直ちに中止すべきだと述べた。
リベラ欧州委員(競争担当)は「市場が機能不全に陥った場合、公的機関は支配的事業者の権力乱用を防ぐため、行動しなければならない」との声明を発表した。
グーグルは、直ちに異議を申し立てる意向を示した。グーグルの規制問題担当副社長リーアン・マルホランド氏は、今回の措置について「不当な罰金を科し、欧州の数千の企業にとって収益獲得を困難にする変更を要求するものだ」と述べた。

米国とEUは貿易を巡り緊張状態にあり、トランプ氏は、シリコンバレーの巨大テック企業を規制しようとするEUの取り組みを繰り返し批判している。
グーグルは世界中で独占禁止法の監視にさらされているが、米連邦地裁は2日、ウェブブラウザー「クローム」の売却必要性はないとの判断を示し、一定の救済を受けた。
ただ、司法省は22日の提案審理に先立ち、グーグルの広告技術事業について、5日にも是正措置案を提出する見通しだ。司法省は以前、グーグルに広告管理プラットフォームの売却を命じる案を提示していた。
原題:Trump Threatens Trade Actions After EU Fines Google Over Ad Tech(抜粋)
--取材協力:Davey Alba、Leah Nylen、Kate Sullivan.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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