路上から世界へ…核廃絶の“キーパーソン”にも披露

吉村大作さん
「これは紙芝居のショーです」

こうして完成した紙芝居ですが…

吉村大作さん
「広島の紙芝居です」

紙芝居は日本独自の文化で、海外の人にはあまり馴染みがありません。15組以上に声をかけて、ようやく1組が見てくれる程度。足を止めてくれる人はほとんどいません。

吉村大作さん
「『紙芝居やるよ』と言ったら、その時間に来てくれるものだと思っていて、いざやってみるとそんなものではなかった。聞いてもらうってこんなに大変なんだなと」

苦戦する一方で、こんな人に披露する機会も。2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「ICAN」のパーク事務局長です。

紙芝居
「多くの人々を重い病気で苦しめました」

核兵器廃絶に向け、世界の動きをけん引する人物にアピールしました。

ICAN パーク事務局長
「日本伝統の紙芝居を使い、なぜ核廃絶が必要なのかというメッセージを伝えることはとても意味があると思います」

さらに、国連の事務次長で軍縮部門トップを務める中満泉さんにも。

国連 中満泉 事務局長
「アメリカでも特に若い世代で世論がずいぶん変わってきている。『原爆を広島と長崎に落としたのは正しかったのか』と。そういった考えの人たちが世界中に増えていくと、『核はよくない。無くしていこう』という機運が高まると思います」

紙芝居を始めて5か月。ほぼ毎日続けた結果、これまでに約30か国、数百人に披露してきました。

観光客の中には、帰国後に家族へ読み聞かせをする人も。この紙芝居は100以上の言語に翻訳されています。

ルクセンブルクに住むアンディさんは…

ルクセンブルクに住む アンディさん
「子どもたちに見せられてよかったよ。関心を持ってくれたし、広島の“真実”を学べたと思う」

吉村大作さん
「僕は被爆2世でも3世でもないし、広島、長崎で生まれたわけでもないが、関係のない人も継承していくことによって、被爆者自身が少なくなっても、被爆体験をのちのち語られていく。それが日本であったり世界であったり、いろんな場所でやっていただきたい」

一人ひとりに語りかけるように始まった、大阪・新世界での紙芝居。その物語はいま、世界へと広がっています。