伊藤忠商事は5日、女性の活躍推進などジェンダー平等を支援する国内初のESG(環境、社会、企業統治)社債を起債した。発行額は152億円と、当初予定した100億円程度から増額した。

発行するのは調達資金の使途をジェンダーの平等や性的マイノリティーの能力向上を推進する事業に限った「オレンジボンド」。年限は3年で、発行条件は国債に対する上乗せ金利(スプレッド)が17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、利率は1.110%に決定した。

伊藤忠商事の東京オフィス

オレンジ色は国連が掲げる「女性に対する暴力撤廃」の象徴色で、ジェンダー平等は「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つでもある。日本は世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数が148カ国中118位にとどまる。2022年にシンガポールのIIXが創設した「オレンジボンド・イニシアチブ」に基づき、金融を通じて平等を推進する取り組みが出てきた形だ。

伊藤忠の発表によると、調達資金は、ジェンダーにかかわらず全ての従業員等が⾧期にわたり活躍できる環境の整備や、ジェンダー平等に資するサービス・製品を提供する企業への投資などに充てられる。

野村資本市場研究所の江夏あかね野村サステナビリティ研究センター長は、資金使途を日本のジェンダー格差解消に限定した債券はこれまでになく、意義深い取り組みだと指摘した。その上で、「実際にどのようにインパクトを生み出すかが今後の焦点」であり、透明性ある報告が求められ、市場も注視していく必要があると述べた。

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.