トランプ米大統領は3日朝、米国がベネズエラに対して一連の空爆を実施し、マドゥロ大統領夫妻を拘束したと明らかにした。夫妻はその後、米国で起訴された。マドゥロ氏は現在、米国に向けて船で移送中。今回の軍事行動は、トランプ政権がベネズエラにかけ続けてきた圧力を異例の段階へと引き上げた。

「米国はベネズエラおよびマドゥロ大統領に対する大規模な攻撃を成功裏に実行した。マドゥロ氏は夫人と共に拘束され、国外へ移送された」とトランプ氏はSNSに投稿した。

ボンディ米司法長官はX(旧ツイッター)への投稿で、マドゥロ大統領と妻のシリア・フローレス氏が起訴されたと説明。「麻薬テロの共謀、コカイン密輸の共謀、機関銃および破壊装置の所持、ならびに米国に対する機関銃および破壊装置所持の共謀」の罪に問われているとした。

トランプ氏は、フロリダ州の私邸「マールアラーゴ」で現地時間午前11時に記者会見を開くと発表。また会見に先立ちFOXニュースのインタビューに応じ、マドゥロ氏は「最後には」交渉を望んでいたが、米国としては「やらなければならない」と判断したと語った。マドゥロ氏は米国の船舶でニューヨークに移送中だと、トランプ氏は述べた。

軍事作戦は4日前に実施される予定だったが、悪天候のため延期されていたとトランプ氏は説明。この作戦で「数人の負傷者」が出たものの、米軍に死者はいないと付け加えた。

マドゥロ氏の拘束は前例のない介入であり、2013年に大統領に就任した同氏にとって衝撃的な転落となった。米国による攻撃を受け、ロシア外務省やコロンビアのペトロ大統領といったマドゥロ氏の支持者から非難が相次いだ。ペトロ氏は、国連安全保障理事会の開催を求めた。一方、トランプ氏を支持するアルゼンチンのミレイ大統領らはこのニュースを歓迎した。

ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は3日、2024年の選挙で勝利を主張している野党候補ゴンサレス氏が「直ちに」権力を掌握するべきだと、Xに投稿した。

マドゥロ氏は、第1次トランプ政権時代から米国の圧力キャンペーンの標的となっていた。トランプ政権は、マドゥロ氏が国家安全保障上の脅威となる麻薬密売組織を率いていると非難してきたほか、トランプ氏はベネズエラの莫大な石油埋蔵量にも言及してきた。

トランプ氏は3日、ベネズエラのエネルギー分野への関心を改めて示し、米国はベネズエラの石油産業に「強く関与していく」と述べた。

FOXニュースのインタビューでトランプ氏は「世界最高、最大の石油会社を米国は持っており、非常に大きく関与していく」と語った。

米国の制裁によりベネズエラで事業を行う国際企業は限られているが、米石油大手シェブロンは、財務省の特別許可の下でベネズエラの国営石油会社の主要パートナーとなっている。シェブロンは発表文で、ベネズエラの従業員の安全と資産保全に最優先で取り組んでいると説明した。

「出口戦略」

バンス副大統領は、Xへの投稿で、トランプ氏は「麻薬密売を止め、盗まれた石油を米国に返還する」という条件の下で、マドゥロ氏に「複数の出口戦略」を提示していたと明らかにした。

トランプ氏はマドゥロ政権がテロ組織に関与していると非難してきた。ベネズエラ周辺で軍事力を展開し、麻薬密輸に関与したとされる船舶への一連の攻撃を承認した。

米国はまた、制裁対象となった石油タンカーがベネズエラに入出港するのを阻止する封鎖措置も主導。トランプ氏は先月、ベネズエラ締め付けについて「さらに拡大するのみだ。彼らへの衝撃はこれまでに見たことのないものになる」と警告していた。

マドゥロ氏拘束が発表される前から、民主党の一部議員はSNS上で今回の軍事作戦を批判していた。

シャーツ米上院議員(ハワイ州、民主)は、米国にとって「戦争を正当化するほどの重要な国益はベネズエラにはない」と指摘。「われわれは新たな愚かな冒険に足を踏み入れないよう学ぶべきだった」と述べ、トランプ氏は「一体何が起きているのかを米国民に説明することすらしていない」と批判した。

ガイエゴ上院議員(アリゾナ州、民主)は「この戦争は違法だ。世界の警察から世界のいじめっ子になったのは恥ずべきことだ」と指摘。「ベネズエラと戦争をする理由はない」と続けた。

リー上院議員(ユタ州、共和)は3日、ルビオ国務長官が、マドゥロ氏は米国で刑事訴追され、裁判にかけられると述べたと明らかにした。リー氏は、ルビオ長官との電話内容を基に同長官はベネズエラに関して、これ以上の行動は想定していないとも付け加えた。

欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表もルビオ氏とベネズエラについて協議した。カラス氏は自制を求め、マドゥロ氏には正当性がないとするEUの見解を改めて示した。

「武力攻撃」を非難

また、ロシア外務省は、米国による「ベネズエラに対する武力攻撃」を非難し、さらなる緊張の激化を避けることが重要だとの見解を示した。

中国は、米国によるベネズエラへの軍事攻撃とマドゥロ大統領の拘束について、「深い衝撃」を受けたと表明。「主権国家とその大統領に米国が行った露骨な武力行使を強く非難する」とした。

コロンビアのペトロ大統領は「ベネズエラが攻撃された!」とX(旧ツイッター)に投稿。コロンビア政府がベネズエラと国境を接する都市で「作戦プラン」を発動したと明らかにした。ペトロ氏はまた、米州機構(OAS)と国連に緊急会合を開くよう呼びかけた。

米国によるベネズエラへの攻撃を巡っては、首都カラカスで現地時間午前2時(日本時間午後3時)ごろ、最初の航空機飛来と爆発音に住民らが気付き、事態が緊迫。ベネズエラ政府は声明で、軍事エリアおよび民間地域が攻撃されたと発表した。

トランプ政権による圧力強化

ベネズエラが石油収入を麻薬取引やテロなどを含むさまざまな犯罪活動の資金源にしていると非難してきたトランプ政権は、ベネズエラに対する圧力の一環として、米軍は麻薬取引に関与したとする船舶への攻撃を実施。100人余りが死亡したほか、石油タンカー2隻を拿捕した。

ベネズエラはトランプ政権の主張を否定し、米国の行動は違法だと批判している。

米国は特にここ数週間、マドゥロ氏に対する圧力を強化。マドゥロ氏の親族やベネズエラの石油産業と取引している中国企業に制裁を科した。

ブルームバーグが2日確認した船舶の動きによると、ベネズエラに向かっていた石油タンカー少なくとも7隻が同日、進路を反転させるか、海上で運航を停止した。米軍が先月、超大型原油タンカー「スキッパー」を拿捕(だほ)した直後は、4隻が進路を変更、もしくは航行を停止していた。

マドゥロ氏の拘束は、ベネズエラと国民にとって転機となる可能性がある。注目はいま、所在が分かっていない野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏と、2024年大統領選での野党統一候補エドムンド・ゴンサレス氏に集まっている。ゴンサレス氏は、公式とは別に行われた集計では勝者と広く見なされており、現在はスペインに亡命している。

マチャド氏は12月中旬、ノーベル平和賞を受け取るために遅れてオスロに姿を見せた後、ベネズエラに戻り、再び潜伏すると述べていた。

原題:Maduro Captured, Indicted After US Airstrikes on Venezuela (2)、Venezuela Accuses US of Attack as Explosions Rock Caracas (1)、Caracas Residents Report Explosions, Aircraft Overflying (1)、Trump Says Maduro Captured After US Airstrikes Hit Venezuela (3)

(抜粋)

(マチャド氏のコメントなど追加し、更新します)

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