エコノミストは、市場予想を上回った4-6月期のインド成長率について、統計上の要因によって実際の基調的な伸びよりも高く出た公算が大きいとの見方を示した。

この要因を考慮して、エコノミストの2025年度(25年4月-26年3月)成長率予測は、米関税引き上げの影響が見込まれる中でも上方修正されている。

先週発表の統計によると、インドの4-6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.8%増と、この1年余りで最も高い伸びとなった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は6.7%増だった。

予想を上回る成長となった一方で、インフレの影響を除去するために用いるGDPデフレーターが異例に低かったことが、成長率を押し上げた可能性があると、ゴールドマン・サックス・グループとHSBCホールディングス、野村ホールディングス(HD)のエコノミストはリポートで指摘している。

 

先週から米関税が50%に引き上げられ、インド経済がどこまで耐えられるかを市場が注視する中で、4-6月期のインド成長率は重要な意味を持つ。

インドの株式市場は成長率を好感。インド株の指標NSEニフティ50指数は1日、0.8%高で取引を終えた。

サンタヌ・セングプタ氏率いるゴールドマンのエコノミストは「価格変動が激しい食品などにより異例に低かったGDPデフレーターの影響を考慮すると、公表された成長率は実際の基調的な伸びより若干高くなっている可能性がある」と指摘。適正なデフレーターを用いていたら成長率は0.5ポイント低かった可能性があると分析した。

HSBCのプランジュル・バーンダリ氏は、こうした「デフレーター要因による上振れ」は最大1ポイントだった可能性があると推計。今後2四半期にわたりこの影響が続き、公式統計と高頻度で公表される指標との間に「乖離(かいり)が生じる」可能性を指摘した。

インド準備銀行(中央銀行)が消費者物価指数(CPI)を主な物価目標としているのに対し、GDPデフレーターは卸売物価指数(WPI)とほぼ連動している。WPIは5月以降前年同月比でマイナスとなっており、低めのデフレーターが成長率を実際以上に押し上げた格好だ。

野村HDのソナル・バルマ氏とオーロディープ・ナンディ氏はリポートで、今回の成長率データについて、低いデフレーターと対米輸出の前倒しによって押し上げられたものであり、「基調的な需要の強さを示すものではない」と指摘した。また、25年度の成長率予測を従来の6%から6.6%に引き上げた。ゴールドマンも6.1%から6.7%に上方修正している。

原題:India’s Surprise GDP Flattered by Data Calculation, Analysts Say(抜粋)

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