中国の半導体メーカーは米同業他社との比較で4年ぶりの割高水準にある。だが、有力ファンドマネジャーは依然として半導体装置メーカーには投資機会があるとみている。

JPモルガン・アセット・マネジメントで21億ドル(約3100億円)規模のアジア太平洋株式ファンドを運用するオリバー・コックス氏は、「こうした企業は顧客に依存しない傾向があるため、どの中国半導体メーカーが最終的にリーダーとして台頭するかにかかわらず、成長を維持するだろう」と予想する。

その上で、米国でかつて起きたゴールドラッシュで、つるはしやシャベルなどの採掘用具を売った人たちがもうけを手にしたことに由来する戦略に言及した。

ブルームバーグの集計データによると、このファンドは今年に入り、同種ファンドの95%を上回る成績を収めている。

中国本土の半導体株の比重が大きい科創板(STAR)50指数は8月に28%高と、過去最高の月間上昇率を記録。中国当局が米エヌビディアの人工知能(AI)アクセラレータ「H20」製品について、使用を控えるよう国内企業に求めたことが寄与した。

同指数の向こう1年の利益見通しに基づく予想株価収益率(PER)は現時点で62倍と、過去5年間の平均を50%上回り、米国のフィラデルフィア半導体株指数の24倍と比べはるかに割高水準にある。

コックス氏は実際の半導体製造に軸足を置く企業について、「好調な業績を上げているが、いずれもバリュエーションが比較的高い」と分析。「需要は続くのか、生産目標を維持できるのかといった経済的持続可能性に懸念が残る」との見方を示した。

中国のAI半導体設計大手、中科寒武紀科技(カンブリコン・テクノロジーズ)は先週、一時的に中国本土株で最も割高な銘柄となった。同社株は昨年12月以来、2倍強に上昇。向こう1年の利益見通しに基づく予想PERは200倍超となっている。

コックス氏は自身が有望視している具体的な銘柄を挙げることは認められていないが、同氏が運用する別のファンドは、半導体製造工程全般で使われる各種装置を手掛ける北方華創科技集団の株式を保有。同社の株価は今年に入り30%上昇し、同業の中微半導体設備も同じ期間に18%上げている。

コックス氏はAIについて、業界の設備投資から恩恵を受ける企業と、AI搭載製品やサービスを展開する企業を区別することが重要だと語った。

原題:Asia Fund Beating 95% of Peers Is Bullish on Chip Gear Makers(抜粋)

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