英国のスターマー首相は1日、ダウニング街のスタッフ陣に大幅な人事異動を行うと発表した。政権発足から約1年となるスターマー氏は、指導力に疑問符が付き、労働党の支持率も急落する中で、政府を立て直し経済政策への影響力を強めるねらいがある。

ダレン・ジョーンズ氏

スターマー氏は、官邸の日常業務を統括する「首相首席秘書」にダレン・ジョーンズ氏を任命した。ジョーンズ氏はリーブス財務相の下で財務次官を務めていたが、今回の任命で、スターマー政権の最上級幹部の一人となる。関係者によると、この人事により首相官邸と財務省の連携が一層強まる見通しだ。

スターマー氏はさらに、イングランド銀行の元副総裁で国際通貨基金(IMF)元理事のミヌーシュ・シャフィク氏を新たな首席経済顧問に任命した。貿易戦争や不安定な債務市場に英国が揺さぶられる中、シャフィク氏の国際経済への深い理解により、官邸の経済専門性の強化を図る。

英国議会が夏期休暇明けに再開する中で行われた今回の人事は、昨年の政権発足後、スターマー氏が経済政策をリーブス氏にほぼ丸投げしたとの批判に応えるものとみられる。当時の態勢から生まれた秋期予算は、企業からの強い反発を受け、労働党の支持率下落にもつながった。

政府関係者によると、スターマー氏とリーブス氏は、個人的にも政治的にも足並みをそろえている。それでも、今回の人事は、政権の命運を分けるとされる秋の予算を前に、首相官邸が経済政策により大きな役割を果たす必要があるとの認識を反映したものだという。

また別の関係者は今回の人事について、経済成長を重視した対応であり、左派への傾き、あるいはスターマー、リーブス両氏による借り入れ増大を容認する兆しと受け止める必要はないと述べた。

支持率が後退する労働党

原題:Starmer Reset Aims to Grip Economic Policy After Early Woes (2)(抜粋)

(最終段落を加えます)

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