食品大手ネスレは1日、就任からわずか1年のローラン・フレイシェ(CEO)を解任した。公にされていない恋愛関係が理由だとしている。後任には、ネスプレッソ部門を率いてきたフィリップ・ナブラティル氏(49)を指名した。

発表によると、調査の結果、フレイシェ氏が直属の部下と関係を持っていたことが判明した。調査は、ポール・ブルケ会長と筆頭独立取締役のパブロ・イスラ氏が、外部の独立弁護士の支援を得て主導した。

ブルケ会長は「これは必要な決定だった。ネスレの価値観とガバナンスは当社の強固な基盤だ。フレイシェ氏のこれまでの貢献に感謝する」と説明した。

ネスレの株価は2日午前に一時3.6%急落したが、その後下げ幅を縮小している。

今回の突然のCEO交代は、同社の経営トップ人事を巡る混乱に拍車をかけた。フレイシェ氏は約1年前、業績低迷を理由に電撃的に解任されたマーク・シュナイダー氏の後任として就任していた。

フレイシェ氏の戦略は、広告支出を増やし、数を絞った大型商品の施策に注力することで成長し、消費者の支持を取り戻すことだった。また、苦戦するビタミンブランドの戦略的見直しに着手し、飲料水事業も独立部門として分離した。

後任のナブラティル氏は2001年入社のベテランだ。今年に入って経営委員会に加わり、これまではネスプレッソ部門のCEOを務めていた。

株価が2022年初頭のピークから40%超も下落したネスレを、ナブラティル氏が立て直せるかどうかはまだ懐疑的な見方が残る。ナブラティル氏は「会社の戦略方針を全面的に受け入れる」と述べ、広告費の拡大、少数だが大型の製品開発への集中、不採算部門の整理といったフレイシェ氏の戦略を継続する意向を示した。

JPモルガンのアナリスト、セリーヌ・パヌティ氏はリポートで「市場が成果に疑念を抱いているこの時期に、新CEOが前任者の戦略に縛られている現状は残念だ」と述べた。

 

原題:Nestlé Shares Fall After CEO Ousted Over Workplace Relationship、Nestlé Turns to Another Insider to Replace CEO Fired Over Affair(抜粋)

(市場の反応を追加し更新します)

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