(ブルームバーグ):カザフスタンが国家資金の一部を人工知能(AI)インフラに投じる準備をしている。変動リスクがありバリュエーションが急激に高まっているにもかかわらず、ベンチャーキャピタルや資源の豊かな国々がこの分野に多額の投資を行っており、カザフもこのブームに乗る。
同国の中央銀行傘下で、600億ドル(約8兆8200億円)規模の国家石油基金の一部を運用するナショナル・インベストメント・コーポレーション(NIC)の最高経営責任者(CEO)、セリクジャン・リスベコフ氏が、首都アスタナにある本社でのインタビューで明らかにした。
同氏は、厳しい投資環境下でデータセンターなどのAIインフラが高いリターンを得る手段になるとみていると語った。NICは34億ドルを運用しており、同分野への資金配分は初めてだという。
中央アジア最大の産油国であるカザフの動きは、AIブームが各国の投資方針に変化をもたらしていることを示す最新事例だ。
中東では、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、カタールがオープンAIのような企業への支援やデータセンターの建設、半導体の供給確保のために数十億ドルを投じている。
一方で、こうした投資行動はリスクも伴う。大手テクノロジー企業はAIへの投資を加速させているものの、いつ収益化できるかは不透明なままだ。
NICの運用資産のうち50%超はプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドに投資されている。また、約20%がヘッジファンドで、残りは債券や不動産、プライベートデットなどに分散されている。運用資産のうち約半分は中銀の外貨準備由来で、残り半分は石油基金の拠出分が占めている。
現在、同基金の貯蓄ポートフォリオのうち約3%がNICに割り当てられているが、最大で5%までは投資が認められているという。リスベコフ氏は「多くの計画がある」と語り、新たな収益機会を求めて投資上限の引き上げを望んでいることを明かした。

原題:Artificial Intelligence Boom Lures Kazakhstan’s Oil Wealth (1)(抜粋)
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